徳川家康(狩野探幽画、大阪城天守閣蔵、ウィキペディアより)

 私は公認会計士であるとともに、経営心理士として企業の経営を数字と心理的側面から分析して経営改善を行うコンサルティングを行っている。

 その中で、従業員のモチベーションが低い、従業員が自発的に動かない、離職率が高い、といったご相談は頻繁にお受けする。このようなご相談が寄せられる企業には多くの場合、次のような共通点がある。

良くない企業の共通点

 まず、上司が部下の話をまともに聞かない、聞く姿勢を持っていない。

 部下が意見を言ってもその意見を否定し、自らの意見を押しつける。

 部下に対してダメ出しは頻繁にするが、褒めることはない。

 先のようなご相談を受けた場合には、現場がこういった状況になっていないかを確認するが、ほとんどの場合、相談者は「確かに言われてみれば・・・」と現状を振り返り反省される。

 そのため、そういった悩みを解消するためには、まず部下の話を聞き、部下の意見で採用できるものがあれば採用し、少しでも良いところが見つかれば部下を褒めることを実践するところから始めるようにお伝えする。

 ただ、相手からこんなふうに言われることがある。

 「部下の意見を聞くといっても、部下は取るに足らないような意見しか言わないんです。そんな意見をじっくり聞いている暇はないし、途中まで聞けば最後まで聞かなくても何が言いたいか分かる」

 「そもそも部下たちはみんな部分的な視点しか持っていないし、経営的な物の考え方が分かっていない」

 その結果、部下の話をまともに聞く耳を持てず、話を最後まで聞くことなく「違う違う、そうじゃなくて」「分かってないな」「だから、結局こういうことでしょ」と途中でさえぎる。

 そういう方には社会心理学者の三隅二不二氏が提唱したPM理論の話をする。