米国がサウジアラビアを見捨てる日

ロシアとの歴史的和解が米国の虎の尾を踏んだ?

2017.10.13(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51319
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 サウジアラビアにとってロシアはソ連時代「『無神論』を掲げる不倶戴天の仇敵」であり、直近ではシリア情勢を巡っても激しく対立してきた。その両国が接近した背景には様々な思惑が見え隠れするが、両国が握手したことにより、「ロシアが米国に代わり中東地域のバランサーになる」との見方が浮上している(10月7日付OILPRICE)。

米情報機関がムハンマド皇太子を排除?

 9月26日、サルマン国王が「女性による車の運転を来年6月に解禁する」旨の勅令を発表した。それを受けて日本では「サウジアラビア国内で開明的な動きが進んでいる」との印象が強まっている。だが、「国王は宗教保守派の逆鱗に触れ、サウジアラビアのみならず中東地域全体に混乱が広がる懸念が高まっている」との指摘もある(10月2日付ZeroHedge)。

 サウド家はイスラム・スンニ保守派であるワッハーブ派の「お墨付き」によりサウジアラビア国内を統治してきたが、改革の障害となっているワッハーブ派の宗教指導者への弾圧の動きを強めている。この行為はサウド家自身の国内統治の正統性を大きく揺るがせる劇薬でもある。

 トランプ・ファミリーとの蜜月ぶりをアピールするムハンマド皇太子の権勢を嫌う米情報機関が「ムハンマド皇太子がさらなる独断専行を進めれば同氏を排除する」との憶測も出始めている(10月2日付ZeroHedge)。そうなれば中東地域は大混乱に陥り、世界の原油供給に大きな障害が生じるリスクが高い。にわかには信じがたい話だが、原油供給における対外依存度が格段に低下した米国にとってありえない選択肢ではなくなっているのではないだろうか。

「米国がサウジアラビアを見捨てる日が来る」との前提でエネルギー政策の大転換に着手しなければならない時期に来ているのかもしれない。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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