米国がサウジアラビアを見捨てる日

ロシアとの歴史的和解が米国の虎の尾を踏んだ?

2017.10.13(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51319
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中国で原油在庫が積み上がり輸入にブレーキ

 世界の原油市場について、国際エネルギー機関(IEA)は「需給バランスは大きく改善した」としていたが、9月29日、「米国でのシェールオイルの増産見通しや、中国の原油輸入に関する不透明感を背景に、2018年のOECD加盟国の原油在庫が増加する可能性がある」としてこれまでの見方を変更した。

 米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は750基程度と安定しているが、来年のシェールオイルの生産量は日量110万バレルと大幅増加すると見込んでいる。

 また、注目すべきは「中国の今年の原油輸入規模をみる限り、原油在庫はかなり積み上がっているとみられ、今年に入り順調に減少してきたOECD加盟国の原油在庫は今後6~9カ月間で再び増加に転じる可能性がある」とするコメントである。

 中国の今年上半期の原油輸入量は日量平均855万バレルとなり、米国を抜き世界一の原油輸入国となったが、その後7月は同818万バレル、8月は同800万バレルと減少傾向にある。原油在庫が積み上がっているため、輸入にブレーキがかかっているとみられる。

 また、中国政府は9月28日、「2019年に自動車メーカーに対し10%の新エネルギー車の製造・販売を義務付ける」規則を導入すると発表しており、上半期に低迷したガソリンや軽油の需要が回復する見込みは低いと言わざるを得ない。

 10月18日に開催される共産党大会後に中国経済が急減速する懸念がますます高まっているが、経済のハードランディングが生じなくても、中国の原油輸入量の減少が続き、同国での在庫増加が抑制されれば、行き場を失った原油がOECD加盟国内に滞留し、中国に代わって在庫を積み上げることになるだろう。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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