彼女がハンドキャリーして持ち込んだ日本製カラオケ装置には、9万曲が内蔵されているというから、事実として、彼女の狙いは実現したと言えるだろう。

 毎晩、清水さんは和服を着て、青空ラウンジのホールに立つ。

 カラオケ目当てのお客様だけでなく、レストランに来られる食事客にも、これまでモスクワでは見られなかったママ顔で挨拶を交わす。

 これで確実にモスクワの夜は一段アップグレードしたと感じるのは筆者だけではないだろう。ただし、本当にモスクワの難しさ、怖さを知るのはこれからである。清水さん、頑張れ。

 政府間の日露経済交渉が停滞気味なこの時期に、筆者が知るだけでも2軒の新規飲食店がモスクワにオープンした。

 KUはロシア人による国内投資、カラオケバーは、清水恵美子さんによる日本からの投資と思われるが、ともかく日本をテーマに、民間投資が動き始めた。

 リスクに敏感な民間資本が、モスクワという土地への投資を考えるためには、ロシアの経済的安定が何よりも大事である。

 その意味では、最近のロシアは「悪くない」と言えるのではないだろうか。新たにロシア進出を狙っている日本企業は、聞いているだけでも複数ある。やっと日露暗黒の時代を終えて、投資の時代に入りつつあるのだと信じたい。

「カラオケバー清水」の清水恵美子ママと「レストラン青空ラウンジ」料理長沼本氏。モスクワでこんな写真が撮れるようになったこと自体、大変な進歩である。