(英エコノミスト誌 2017年10月7日号)

スペイン、カタルーニャ負傷者に謝罪 双方に歩み寄りの兆し

スペイン北東部カタルーニャ州のピネダデマールで、同州独立をめぐる住民投票で使われた投票箱に花をささげるため列をつくる人々(2017年10月3日撮影)。(c)AFP/Lola BOU〔AFPBB News

災いを回避するためには、本当に欲しいものは何なのかカタルーニャ人に聞け。

 投票をやめさせるために機動隊を送りこみ、高齢の女性たちの頭に警棒を振り下ろす。民主主義の国がそんなことをしでかすときには、どこかがかなりおかしくなっている。

 カタルーニャ州の発表によれば、10月1日に行われた独立の是非を問う住民投票で警察と向き合い、怪我を負った人の数は900人近くに達した。憲法違反の投票を企てたカタルーニャ州の指導者らの挑発がどんなものであったにせよ、スペイン中央政府のマリアノ・ラホイ首相が取った行動のために、スペインは1981年のクーデター未遂事件以降で最悪の憲政上の危機に陥っている。

 人の頭を殴れば分離主義は収まるだろうとラホイ氏が考えていたのであれば、それはこの上ない過ちだった。結果として生じたのは、敵を活気づける一方で味方を驚愕させる膠着状態だけだった。10月3日には、スペイン屈指の豊かな地域であるカタルーニャが、抗議のストライキで麻痺してしまった。数十万人が街に繰り出し、デモ行進で怒りをあらわにしている。

 カタルーニャが分離・独立すれば、スペインにとっては惨事となる。国内第2の都市がなくなるうえに、以前から独立運動が起きているバスク地方も失いかねない。カタルーニャ州の人々にとっても打撃となる。州民の過半数が分離に反対していると見られるのはそのためだ。

 また、欧州のほかの地域で分離・独立運動を引き起こす可能性もある。スコットランドでの再燃はもちろん、イタリア北部やフランスのコルシカ島、さらにはドイツのバイエルンが続くかもしれない。

 危機の進行を防ぐには、憲法に沿った新たな決着を双方が求めなければならない。ところが、双方は攻撃し合うばかりで、カタルーニャ州は一方的に――かつ違法に――独立を宣言する瀬戸際まで来ている。