そんな時は自分の経験や知識、思いを伝えることも大切ではないかと思います。伝え方としては次のような感じです。

「こんなアイデアや、あんなアイデアもあるんじゃないかな」

「君なら、もう少しできると思うんだけど、どうかな? もしやってみたいなら、そのために手伝えることはある?」

「こうした方がいいよ」と教えたり指示するのではなく、あくまでも提案型で、相手に選択肢を用意してもらうようにします。そうすることによって、部下は自分で考えて判断するようになり、自走に近づいていくのです。

自然な言葉遣いができるようにするために

 これは結構微妙な言葉の使い方になってしまうので、難しく感じられるかもしれません。では、どうすれば自然にそういった言葉遣いができるようになるのでしょうか。そのためには、以下の2つのことが大切だと思います。

 1つ目は、普段から信頼関係を築くことです。仕事上の必要な会話だけではなく、「何が好きなのか、どんなふうにプライベートを過ごしているのか、大切にしている価値観は何か」といったことを雑談などで交わして、お互いをより深く知ることです。

 もう1つは、「この人には、人生の主人公として無限の可能性があるんだ。自分で自分の道を決めることができるんだ。自分でどうすればいいかを考える力があるんだ」と考えながら、接していくことです。これには、自然とそれに合った言葉が出てきたり、部下にその感情が伝わって部下がその信頼に応えようとしてくれるようになる効果があります。

 ぜひ、2つのことを試してみてください。部下の反応にも、自分の中にも、変化が生まれてくるはずです。