ノーベル化学賞、欧米の研究者3人に クライオ電子顕微鏡法の開発で

2017年のノーベル化学賞を受賞した(左から)ジャック・デュボシェ氏、ヨアヒム・フランク氏、リチャード・ヘンダーソン氏(2017年10月4日撮影)。(c)AFP/Jonathan NACKSTRAND〔AFPBB News

 2017年度のノーベル物理学賞、化学賞が出ました。物理は大方の予想通り重力波、基本的な業績を挙げられたパイオニアの表彰、これについてはJBpressでも専門家である小谷太郎博士の解説などが出ると思います。

 本稿では今年のノーベル化学賞について、やはり分かりやすい切り口からスケッチしてみたいと思います。

 どことは言いませんが新聞の見出しで「ノーベル化学賞 欧米の3氏へ」というヘッドラインを見かけました。意味ないですね。

 「日本からの受賞が何年連続であったけど・・・」といったことしかデスクの興味がないのでしょう。予定稿を準備した記者も災難です。

 私は大学外交の担当者としてドイツのミュンヘン工科大学と緊密にご一緒していますが、今年のノーベル化学賞はミュンヘン工大出身のヨアヒム・フランク教授など、クライオ(低温)電子顕微鏡の開発に基礎的な貢献のある3人の先駆的な生物物理学者/生物学者に贈られました。

 ノーベル化学賞なのに、物理と生物に与えられているあたりに、ポイントがあります。

 受賞の報を目にして、早速ミュンヘン工大へは(一応 東大総長の意も含めて、として)ただちにお祝いをメールしておきました。

 私も昔は極低温物性実験を学んでいましたので、今回はこのノーベル化学賞の業績をイノベーションや技術経営に役立つ切り口を選んで、簡単に解説してみましょう。

 現在実験に携わっていない私自身の言葉ですので間違っている可能性もあると思います。瑕疵がありましたらどうか編集部までご一報いただければ、謙虚にお教えを受けたいと思います。

 本稿は、必ずしも専門家でなくとも、ノーベル賞褒賞の報道から知れる時代と人智のフロンティアやインベストメントの可能性に、多くの読者、特に若い皆さんが興味や好奇心を持ってもらえれば、と思って記すものです。