(英エコノミスト誌 2017年9月30日号)

米、北に追加制裁 銀行8行と幹部26人が対象

北朝鮮の首都平壌の金日成広場で開かれた反米集会の様子。国営朝鮮中央通信(KCNA)提供(2017年9月23日撮影、同24日配信)。(c)AFP/KCNA VIA KNS〔AFPBB News

ただし、使わせないようにすることなら、まだ間に合う。

 自信過剰で気取り屋で、怒りっぽいうえに何かと大口を叩く男が2人、派手な脅しの文句をぶつけ合っている。これがヒップポップアーティストのラップバトルであれば面白いかもしれないが、どちらも核兵器を保持している以上、そうはいかない。

 米国のドナルド・トランプ大統領は9月19日の国連総会で演説し、人口2500万人を擁する北朝鮮を、「ロケットマン」すなわち指導者・金正恩(キム・ジョンウン)氏とともに「完全に破壊する」と威嚇した。金氏はこれに反発し、「米国の老いぼれ狂人を必ず、絶対に火で制する」と切り返した。

 また、北朝鮮の外務大臣は太平洋上で水爆実験を行う可能性を示唆し、米国は北朝鮮の東海岸沖に戦略爆撃機を飛ばす示威行動を行った。北朝鮮は、この行動は宣戦布告に等しいと述べ、もう一度同じことをすれば撃墜も辞さないと言い切った。

 北朝鮮に関する著作のあるベテランジャーナリスト、ブレイン・ハーデン氏が語っているように、米国人にとってこの状況は、半ば打ち負かされた敵が「ぼんやりとしか覚えていない戦争の・・・遺体安置所からゾンビのように起き上がってくる」ようなものだ。

 度々思い返されて議論になるベトナム戦争とは異なり、米国で朝鮮戦争(1950~53年)はおおむね忘れ去られている。しかし、この戦争は朝鮮半島を本当に壊滅させた。民間人の死者は250万人、兵士の死者はそれぞれ120万人に達し、米軍の兵士もそのうちの3万4000人を占めた。中国が大軍を派遣して介入した後、朝鮮半島が戦前と同様に分断されたままの状態で戦いは終わった。