ポテトサラダが映し出す日本人のマヨネーズへの情熱

「栄養と料理カード」でたどる昭和レシピ(2)ポテトサラダ

2017.10.06(Fri) 三保谷 智子
筆者プロフィール&コラム概要

 日本で最初にびん入りの国産マヨネーズがキユーピーから生産・発売されたのは1925(大正14)年。その前年に、国産のサラダ油が日清製油から発売されている。現在、家庭の食事で、サラダはあえ物やお浸しよりも頻回に食卓にのぼるようになったが、当時、野菜料理といえばあえ物や煮物、漬物で、サラダのように油を使い、野菜を生で食べる習慣は一般の日本人にはなかった。大正期最後に、現在のサラダ食の芽生えがあったともいえそうだ。

 市販のマヨネーズはまだまだ珍しく、必要とあれば家庭で作っていた時代。ボールに卵黄、塩、こしょう、からし、酢半量を入れて泡立て器でよく混ぜ、ここにサラダ油を細く糸のように流し入れながらよく攪拌する。白色を帯び、どろりとしてきたら、その後は油を少々早めに流し込んでさらに攪拌しつづける。もっちりと硬まってきたら残りの酢を入れてかき混ぜる、とある。目の前の具体的な変化がていねいに表現され、備考には、油と酢が分離(失敗?)したときの対処法もこと細かに明記してある。

 一方、ポテトサラダは、「栄養と料理カード」の中には3枚あった。じゃが芋に組み合わせる材料は多少違うが、作り方にそれほどの差はない。盛りつけ方も同様で、大きな鉢にサラダ菜を敷いて中央にポテトサラダをこんもり盛っている。それぞれ見ていこう。

じゃが芋はまるごと30分ゆでる、熱いうちに下味をする――昭和28年

1953(昭和28)年8月号 。表に日清サラダ油の広告、裏にミツカン酢の広告。どちらもマヨネーズに欠かせない材料。
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 1953(昭和28)年8月号の「ポテト・サラダ」は、5人分でじゃが芋5個(500g)。まるごと30分ゆでて熱いうちに皮をむいていちょう切りにし、塩、酢、こしょうで下味をつける。にんじんも丸のままゆでて小ぶりの半月切り、きゅうりは小口切り、玉ねぎは薄切りにする。にんじん、きゅうり、玉ねぎにもそれぞれ塩とこしょう、酢で下味をする。

 マヨネーズソースの作り方は別項目を立てて紹介している。卵黄1個で作り、5人分のポテトサラダにはその約半分を使う。

 卵黄1個(22g)に酢、塩を加えて泡立て器でよくかき混ぜる(20回ほど)。どろりとなったらサラダ油3/4カップのうち、大匙1を1~2滴ずつ、かき混ぜながら落としていき、白濁してきたら糸のように流し入れ、続いて残りの油全量を加えてかき混ぜていく。でき上がりは1カップ強で1428kcalになる。

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三保谷智子(みほやともこ)

栄養と料理』元編集長。2011年4月から香川昇三・綾記念展示室勤務。学芸員。

東京都出身。1977年立教大学文学部史学科卒業後、香川栄養専門学校栄養士科(現 香川調理製菓専門学校)へ進学、「栄養士」の資格を取得。その後、1979年女子栄養大学出版部雑誌編集課に入職、約30年『栄養と料理』の編集に携わる。1988年より2011年まで、10年間編集長を務める。途中、同部マーケティング課、書籍編集課に在席。

独立行政法人国立健康・栄養研究所外部評価委員。「食生活ジャーナリストの会」会員、NPO法人「野菜と文化のフォーラム」会員、NPO法人「くらしとバイオプラザ21」理事。現在、『栄養と料理』で連載「レシピの変遷シリーズ」を執筆中。


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