(英エコノミスト誌 2017年9月30日号)

キューバ駐在のカナダ外交官とその家族、「音響攻撃」で5人が被害

キューバの首都ハバナにある米国大使館の前に掲げられたキューバ国旗(2016年11月26日撮影)。(c)AFP/YAMIL LAGE〔AFPBB News

共産主義を掲げる体制は、もはや同盟国の気前の良さを頼れなくなり、途方に暮れている。

 ガブリエルとレオには共通点がほとんどない。ガブリエルは病院の用務員として月に576キューバペソ(23ドル)稼いでいる。一方、レオは11人の正社員を抱え、売上高が月間2万ドルにのぼる民間企業を経営している。だが、どちらにも不満を抱く理由がある。

 ガブリエルにとっては、給料でまかなえる生活必需品の少なさだ。首都ハバナにある薄暗い「ミニマ(小型モール)」で、配給手帳で1カ月にどれだけのものを手に入れられるのか教えてくれた。コーヒーの小袋1つ、ボトル半分の調理用油、コメ5ポンド(約2.27キロ)などだ。配給されるのはタダ同然の商品である(コメは1ポンド当たり5セント)。だが、これでは足りない。キューバ人は、コメの値段が20倍もする「自由市場」で追加分を買わなければならない。

 レオ(仮名)は別の不満を抱えている。キューバは仕事に必要な原材料を生産していないが、彼のような企業が輸入することも認めていない。それでもレオは材料を調達するために、月に2、3度、海外に出かける。密輸する商品が関税職員に見つからないよう、スーツケースに荷物を詰め込むのに6~8時間かかる。「まるでコカインを運んでいるような気持ちになりますよ」とレオは言う。

 レオのような起業家が仕事をしやすくなれば、良質な雇用を創出してガブリエルのような人を助けることになる。だが、キューバの社会主義政府はそうは考えない。政府は8月、民間企業が参入を認められている201業種のうち、20あまりの業種の新規免許発行を停止すると発表した。凍結された職種には、レストランの経営、観光客への部屋の賃貸、電子機器の修理、音楽教室の運営などが含まれている。

 これでキューバによる資本主義の実験が終わるわけではない。レストランやホテルなどの経営者を含む60万人の「クエンタプロピスタ(自営業者)」の大半は、従来通り仕事を続けられる。だが、政府は彼らを信用していない。彼らの豊かさは貧しいキューバ人の間で妬みを引き起こす。クエンタプロピスタの独立心はいずれ、反体制派の意見に至るかもしれない。