(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年9月28日付)

トランプ氏が支持した候補、上院予備選で敗北 米アラバマ州

米アラバマ州ハンツビルでルーサー・ストレンジ氏の選挙集会に参加し、スピーチするドナルド・トランプ大統領(2017年9月22日撮影)。(c)AFP/Brendan Smialowski〔AFPBB News

 キリスト教福音派(エバンジェリカル)の扇動者で元キックボクサーのロイ・ムーア判事は、アラバマ州ギャラントの投票所にサンダンスという名の愛馬で乗り付けた。そして、自分こそ保守と呼ばれるにふさわしいことを証明しようと、支援者の前で拳銃を得意げに掲げ、その数時間後に政治革命を宣言した。

 アラバマ州の共和党上院議員候補を決める予備選挙に、カウボーイハットをかぶり、妻と姉、そして母親を引き連れて現れたムーア氏は、党のエスタブリッシュメントは失敗したと言い切った。エスタブリッシュメントは、ドナルド・トランプ大統領から望外の支持を得たと吹聴していた主流派の「ビッグ・ルーサー」・ストレンジ氏を選ぶよう有権者に呼びかけていたが、目論見通りにはいかなかったと述べた。

「エスタブリッシュメントはこのレースに3000万ドルをつぎ込んでいる。アラバマ州民を買収できると思っているんだ。しかし、そうはいかない」。ムーア氏は馬を門柱につないでからそう語った。

 ベトナム戦争の従軍経験があるムーア氏の見立てが正しいことは、この11時間後にストレンジ氏が敗北を認めたことで立証された。これにより、保守色の強いアラバマ州で12月12日に行われる上院議員選挙では、ムーア氏が元検事のダグ・ジョーンズ民主党候補と議席を争うことになる。ジェフ・セッションズ氏が連邦司法長官に就任したために行われる補欠選挙だ。

 ムーア氏の勝利には、アウトサイダーであることを強調して当選したトランプ氏の選挙運動に似ている面が多かった。しかし、そのせいで共和党内の分裂が浮き彫りになった。そのうえ、ほかの州の予備選でも主流派の現職議員に反旗を翻す候補者が続々と登場するのではないかとの憶測も呼ぶこととなった。