3つの軸が交差する「自分の強み」をつくる

 8月末に、『日本テレビ・アップル・MTV・マクドナルド・ミクシィ・世界の医療団で学んだ、「超」仕事術』(方丈社)という著書を上梓した。

 この本のタイトルは、新卒で入った日本テレビをはじめ、これまで働いてきた企業名を時系列に並べたものだ。働く会社は転々としたが、一貫して戦略PRに携わってきたので「職」が変わったという意識はない。現在は独立して企業の戦略PRを行う一方、大学で教えたり、コラムの執筆や講演活動、ウェブメディアの編集長等、戦略PR以外の仕事も含めて仕事の幅は年々広がってきている。

 現代は「複業」という言葉も広まり、多様な働き方をする人も増えてきたが、それでも一定数の人たちは定年まで同じ会社に勤める。そこから転職するにせよ、独立するにせよ、副業や複業をするにせよ、それぞれの人が自分に合った働き方を選択できる時代になった。

 私の場合、会社が変わっても戦略PRという職種が変わらなかった理由は、何といっても戦略PRが「好きだから」である。

 しかし、ただ「好き」なだけでは仕事にならない。野球選手がドラフトで指名されてプロになり、FA権やポスティングシステムを行使して移籍するように、私も「社会や企業から必要とされること」によりキャリアを積んで、「自分にしかできないこと」の枠を広げていった。

 一口に戦略PRと言っても幅は広い。日テレではマスメディアを使った広告やパブリシティを行い、アップルでは「AppleCare(アップルケア)」という既存ユーザー向けの情報発信を行った。MTVで広報(コミュニケーション)部長を務めた後、マクドナルドではアップル時代にもお世話になった原田泳幸社長(当時)からお声がけをいただき、マーケティングPR部という、新しく立ち上がった部署の部長に就任した。mixiや世界の医療団においても、それぞれの時代背景と企業に合う形の戦略PRを展開してきた。