今後に注目! 節電に報酬が出る「ネガワット取引」

需要のコントロールで電力供給の安定を図る

2017.10.06(金) 稲垣 憲治
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51188
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 また、気になる節電を実際に行う需要家への報酬は、公表資料で東京電力パワーグリッドの平均調達価格が約4700円/kWとなっていることから、ネガワットアグリゲーターのマージンを差し引くと、節電量100kWの契約で年間数十万円程度と推測されます。

*節電要請に対応できる容量を取引するので、契約はkWベースとなります。

ネガワット取引のビジネスモデル

 ネガワット取引普及のカギとなるのは、節電する需要家を束ねるネガワットアグリゲーターですが、ここでは異なるビジネスモデルの2社をご紹介したいと思います。

 エナノック・ジャパンは、米国を本拠地とする世界最大のネガワット事業者であるEnerNOC,Inc.が丸紅と設立した合弁会社で、2013~16年の経産省ネガワット実証参加を経て、既に九州地区でネガワットアグリゲーターとして事業を実施しています。エナノック・ジャパンは、主にライン系の工場やホテル、ショッピングモールなどの需要家を束ね節電量を確保しています。

 特徴としては、同社がネガワットに必要な機器費を負担し、需要家の費用負担を無しとしている点です。また、需要家は、節電指令があった際には製造ラインの一部停止などを行うなどして契約で決められた節電量と節電時間を確保することになりますが、仮に決められた節電がうまくいかなかったとしても、エナノック・ジャパンから支払われる報酬が減額されるものの、需要家が支払うペナルティは発生しない契約となっています。

 需要家にとっては、初期投資も支払いリスクも無いスキームとなっているのです。なお、どのような需要家も契約できるわけではなく、一定のネガワット量が生み出せる比較的大きめの施設が契約の対象となっています。

 NTTファシリティーズは、IoTを活用して、室内環境への影響を最小限に抑えた上で、照明、空調などを遠隔制御して省エネなどを行うエネルギー管理サービスを実施しています。今後、顧客メリットを増すため、このエネルギー管理サービスにネガワット取引を付加して展開することを予定しています。

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(いながき・けんじ) 平成17年3月東京大学大学院修了(エネルギー工学)。同4月文部科学省入省、原子力計画課係長などを経て22年3月退職。同4月から現在まで東京都庁職員。東京都環境局においてソーラー屋根台帳など自治体の新しい太陽光発電普及策の企画に従事。(公財)東京都環境公社において新電力設立・運営に従事。5か国10都市の再生可能エネルギー普及策等を現地調査。業務時間外に、京都大学「再エネ大量導入を前提とした分散型電力システムの設計と地域的な経済波及効果に関する研究プロジェクト」研究員としても活動。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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