(英エコノミスト誌 2017年9月23日号)

対中国の貿易救済措置は37件、今年上半期

安徽合肥にあるコンテナ埠頭の作業区(2017年6月28日撮影)。(c)CNS/張娅子〔AFPBB News

しかし、フェアプレーはできているだろうか?

 もしドナルド・トランプ米大統領が公約を守り、中国から米国への輸出品すべてに懲罰的な関税を課していたら、貿易戦争が始まっていただろう。幸いなことに、大統領は課税をためらった。北朝鮮に核開発を断念させる際に中国の協力を得たいといった思惑などがあるためだ。

 しかし、話はそこで終わらない。今では、中国の工業力をめぐる緊張が世界経済の構造を脅かすに至っている。

 米国の通商代表は先日、中国は既存の貿易ルールでは制御できない「未曾有の」脅威だと述べた。欧州連合(EU)は中国による企業買収攻勢におののいており、外国資本による投資について今よりも厳しいルールを起草している。そしてその間もずっと、中国の経済近代化戦略がもたらす緊張はさらに強まっている。

 こうした緊張の中心にあるのは、世界中の企業と中国企業との競争がますます激しくなっているという、単純かつ圧倒的に大きな事実にほかならない。世界で初めて工業化を進めたわけではないが、これほど急速に、そしてこれほどの大きな規模で躍進を遂げた国は存在しない。

 つい10年ほど前まで、中国で景気のいい町と言えばファスナーや靴下、たばこのライターなどを作っているところだった。しかし今では、携帯電話端末を使った代金決済から自動運転車に至るまで、ありとあらゆる新技術で中国は世界の最先端にいる。

 その偉業には畏敬(いけい)の念すら覚えるものの、一方では、フェアプレーをしない国にこの世界が牛耳られてしまうのではないかとの不安も強まっている。

 企業は脅威を感じている。ブレグジット(英国のEU離脱)やトランプ氏の大統領選挙当選などを目の当たりにしてきた諸外国の政府は、雇用の喪失や、科学技術における優位性の低下といった悪影響を懸念している。

 だが、中国の発展が良い結果をもたらすようにするためには、中国からの挑戦の真の本質について、各国が筋道を立てて考える必要があるだろう。