グローバルな競争が激しさを増した現在、企業はこのような人材こそ充実させる必要がある。当然ながら彼らには仕事に見合った権限、肩書き、報酬を与える。

管理職離れに歯止めをかけるためにも

「過剰な管理職」を減らせば「過剰な管理」をなくせる。それによって部下の意欲と能力が向上し、組織は活性化される。さらに分厚いミドル層から精鋭を引き抜いて「攻め」の部隊に抜擢すれば、現有勢力でビジネスを拡大できるようになる。

 さらに別の効果も期待できる。

 近年、管理職への昇進を望まない社員が増えている。また女性の活躍支援という掛け声と裏腹に、女性の昇進志向も高いとはいえない。それは現在の管理職が魅力に乏しい一方で、労働時間や仕事量などの面で負担が大きすぎるからである。管理職の役割を見直すとともに、本物のプロとして活躍できる道を広げれば、彼らの意識を変えることにもつながるだろう。

 かつて、組織のミドル層が分厚いのは日本企業の強みだといわれてきた。実際にミドル層が経営を支える重要な役割を果たしてきたことはたしかである。しかし今日、環境の変化に素早く適応し、現場の力を最大限に引き出せるスリムでフラットな組織が求められている。企業だけでなく社員にとってもプラスになる道を選ぶことで、組織改革はスピードアップできるはずだ。