HACCP制度化まで半年、対応迫られる食品業界

国際基準に適合した食品安全管理へ

2017.09.29(Fri) 小暮 実
筆者プロフィール&コラム概要

 8月から9月にかけて起きたポテトサラダなどによるO157事件については、まだ原因が不明であるが、食中毒事件の多くが、加熱不足、二次汚染や不適切な殺菌消毒などによるものである。このことから、基準Bについては、一般衛生管理に、必要に応じて重要管理点(CCP)を加えて衛生管理計画を作成する。厚生労働省はホームページで各種の手引書などを公開しているが、今後、各業界団体が実情を踏まえた手引書を作成し、厚生労働省と調整した後、公開していく予定である。

輸出食品を扱う国内企業は海外の認証を受けているが・・・

 一方、海外では、各国がHACCPに基づく取扱いを義務化するとともに、民間取引においてHACCPなどを含めた第三者認証を求めるようになっている。また、グローバル企業を中心としたグローバル食品安全イニシアチブ(GFSI)が認証スキームの標準化を進めている。

 このため、国内の輸出食品の加工業者は、海外の認証スキームであるFSSC22000やSQFなどの民間認証を受けている。さらに、対米輸出に際しては、2016年に食品安全強化法(FSMA)に基づく予防的コントロール規制が施行され、新しい要求事項への対応も求められている。

 しかし、これらの認証基準および海外規制は、欧米との言語や考え方の違いから日本人には馴染みにくい点も多く、申請時に英訳が必要なことなど、中小企業にはハードルの高いものであった。

 日本では、急速な少子高齢化に伴う国内マーケットの縮小などを睨んで、2013年に「日本再興戦略」を閣議決定した。2020年には農林水産物・食品の輸出額を約1兆円に倍増する方針である。

 輸出食品に携わる国内企業が増えることが見込まれ、国内の認証スキームが望まれていた中、いち早く農林水産省の指導の下、HACCPを包含した食品安全管理規格が作られ、運用されはじめた。

いち早く策定された農水系の民間規格「JFS規格」

 農林水産省は、2014年に「食料産業における国際標準戦略検討会」を開催した。また、2015年には「食品安全マネジメント等推進に向けた準備委員会」を立ち上げ、2016年1月に民間企業の拠出により「一般財団法人食品安全マネジメント協会」(JFSM)が設立された。

 同協会は、2016年7月に「食品安全管理規格」(JFS規格)を策定して認証を進めており、国際的な承認スキームとなるべく活動を進めている。JFS規格の策定に当たっては、中小事業者でも取り組みやすいよう、国際レベルの「C規格」の他に、基礎レベルの「A規格」、中級レベルの「B規格」を設けている。また、C規格が認証機関による認証であるのに対して、A規格やB規格は監査会社による適合性証明とし、指導助言も可能とするなど、事業者が導入しやすいよう工夫されている。

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1955(昭和30)年生まれ。東京農工大学農学部農芸化学科卒、雪印乳業(株)を経て、中央区保健所にて39年間食品衛生監視員として勤務。銀座、日本橋、築地などの飲食店や食品輸入業者の監視指導にあたり、多数の食中毒事件や違反食品の調査措置経験あり。現在、食品衛生アドバイザーとして活動中。


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