「長期的な視点で考えれば、本人やチームの市場価値をいかに高めるかということです。そして、市場価値というのは皆さんが自分で作るしかありません。たとえば、何を学ぶか、どんな人たちとコミュニティやネットワークを作るか、そんなことによって市場価値が変わるのです」
では、どうしたらチームのパフォーマンスを上げていけるのだろうか。ピョートル氏は「人を見る」ことを挙げる。
「目の前にいる人をきちんと見る、人として見るというのが大事です」
もちろん、ただ眺めているだけでは不十分だ。
「たとえば、会話の中で出てくることや、適切な質問を通じて、その人が何を望んでいるか、どんな価値観か、何を大切にしているか、何を正しいと思っているか、日常会話の中で毎日聞いていくのです」
とはいっても、朝一番から、顔を合わせてすぐに思い話をしようというわけではない。ピョートル氏は、その狙いをこう説明する。
「それは、すぐに答えを求めるというのではなく、意図としては『考えてください』ということです。何を大切にしているのか、何を求めているのか、という質問をすれば、皆さん、自発的に自己開示してくれます」
自己開示、すなわち自分をオープンにしていけるということだ。仕事だからといって、偽りの自分を演じ続けていては、ストレスばかりたまっていく。しかし、いきなり部下の立場から、自分をさらけ出していくのは難しい。ピョートル氏は、上司のスタンスにもこう述べる。
「マネージャーや上司も、自己開示するのは、非常に大事。具体的には『今日はちょっと頭が回ってない』『疲れている』『今日は悩んでいるから、一緒にコーヒー飲まない?』とか。そうすれば、部下の皆さんにも『ああ自己開示してもいいんだ』ということが伝わり、すごく建設的なコミュニケーションになります」
「人を見る」とはどういうことか
後半は、参加者のワークも含めて、さらに内容を掘り下げていく。
「注目してほしいのは、“ラーニングアジリティ”と“心理的安全性”という2つのコンセプトです」