(英エコノミスト誌 2017年9月23日号)

米アラバマ州判事、同性婚許可に停止命令

米ジョージア州アトランタの教会で信者らと話すアラバマ州最高裁判所のロイ・ムーア主席判事(2003年9月7日撮影、資料写真)。(c)AFP/Getty Images/Erik S. Lesser〔AFPBB News

トランプ大統領とその熱心な支持者との間に楔を打ち込むアラバマ州の予備選挙

 ロイ・ムーア氏は、初めて選挙に敗れてアラバマ州巡回裁判所の判事になれなかったとき、プロのキックボクサーになるために法曹界を離れた。紆余曲折を経て州最高裁の首席判事にまで上り詰めたこの人物は今回、もっと大きな舞台で戦おうと、体をほぐして準備している。ジェフ・セッションズ氏の司法長官就任を受けて行われる、上院議員補欠選挙の共和党予備選挙に挑んでいるのだ。

「悪魔の策略に対抗して立つことができるよう、神の武具を身につけよ!」。アラバマ州北部の都市ハンツビルで開かれた集会では、使徒パウロの言葉を引いて聴衆にこう語りかけた。「我々の戦いは、血肉を相手にするものではなく・・・暗闇の世界の支配者を相手にするものだからだ!」

 この発言により、ミッチ・マコネル氏に対する共和党内の不満は新たなレベルに移行する。ムーア氏は、上院共和党のリーダーであるマコネル氏を憎んでいる。マコネル氏は予備選の対立候補であるルーサー・ストレンジ氏を支援すべく策略をめぐらせ、保守派の有権者からの寄付金・数百万ドルをそこにつぎ込んでいると思っているのだ。

 なぜそういうことになるのかを理解するのはたやすい。アラバマ州のロバート・ベントリー前知事の要請で暫定的に上院議員を務めているストレンジ氏はロビイストの出身で、柔軟性があることで知られる。片やムーア氏は宗教に熱心で、世俗の問題には疎いうえに簡単には妥協しないことが売り物だ。

 昨年の大統領選挙でアラバマ州を大差で制したトランプ氏を支持するムーア氏は、当然ながら今回の予備選で不法移民を罵っている。しかし先日応じたインタビューでは、バラク・オバマ前大統領にとって最大の移民改革の名称――このところ批判されている、幼少期に親と不法入国した若者の在留を認める制度(DACA)――が記者の口から出た際には、それが何であるのか分からなかった。