肺がんは増加しているが、割合としては減少傾向!?

柳澤:近年、肺がんが増加している中での、罹患者数(罹る人の数)と死亡者数はどのようになっていますか。

光冨:現在、日本での肺がんの罹患者数は12万人弱と言われています。そのうち、毎年約7万4千名が亡くなっています。数としては増加していて、近い将来、8万人を超えるのは確実とされています。

 実は、罹患者数としては胃がんや大腸がんと同程度です。しかし、肺がんの死亡者の割合は、他のがんと比べてかなり多くなっています。ここ最近は新しい治療薬が続々と登場し、世間でも話題になっていますが、今のところ死亡者の割合に影響を与えるほどの大きなインパクトとはなっていません。

柳澤:残念ながら、罹患者数・死亡者数とも増えているのですね。

光冨:ただ、高齢化のために罹患者が増加している、ということもあります。長生きする人が多くなれば、当然、がんになる人も増えますから。ですので、昔(昭和60年)と現在の年齢構成の相違を考慮して計算した「年齢調整罹患率*1」の観点では、罹患者数は減少の傾向にあるとされています。

*1:年齢調整罹患率について、詳しくは国立がん研究センター「がん情報サービス」(http://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/nenreichoseirikanritsu.html)にて。

 次回は、「飛躍的に進歩する薬物治療——『分子標的薬』『免疫チェックポイント阻害剤』」をテーマにお話をうかがいます。

光冨 徹哉
近畿大学医学部 外科学講座 呼吸器外科部門 主任教授/日本肺癌学会 理事長

1980年九州大学医学部卒。1986年九州大学大学院医学研究科修了、医学博士。1988年九州大学医学部第二外科助手。1989年米国国立癌研究所にて肺癌の分子生物学的研究に従事。1991年、産業医科大学第二外科講師、九州大学第二外科助教授を経て、1995年愛知県がんセンター胸部外科部長、2006年同副院長、2012年近畿大学医学部外科学講座呼吸器外科部門主任教授。肺癌の外科的治療を専門とするほか分子標的治療にも造詣が深い。日本肺癌学会理事長、日本呼吸器外科学会、日本臨床腫瘍学会各理事。2017年10月からは世界肺癌学会の理事長。

柳澤 昭浩
日本肺癌学会Chief Marketing Adviser/がん情報サイト「オンコロ」コンテンツ・マネージャー

18年間の外資系製薬会社勤務後、2007年1月より10期10年間に渡りNPO法人キャンサーネットジャパン理事(事務局長は8期)を務める。先入観にとらわれない科学的根拠に基づくがん医療、がん疾患啓発に取り組む。2015年4月からは、がん医療に関わる様々なステークホルダーと連携するため、がん情報サイト「オンコロ」のコンテンツ・マネージャー、日本肺癌学会チーフ・マーケティング・アドバイザー、株式会社クリニカル・トライアル、株式会社クロエのマーケティングアドバイザー、メディカル・モバイル・コミュニケーションズ合同会社の代表社員などを務める。

*本稿は、がん患者さん・ご家族、がん医療に関わる全ての方に対して、がんの臨床試験(治験)・臨床研究を含む有益ながん医療情報を一般の方々にもわかるような形で発信する情報サイト「オンコロ」の提供記事です。