税金、食費、交際費? カロリーが消費される仕組み

夜食は本当に太りやすいのか?(前編)

2017.09.15(Fri) 大平 万里
筆者プロフィール&コラム概要

 肉体労働者でもない限り、消費カロリー全体の7割を占めるのが「基礎代謝」「食事誘発性熱産生(DIT:Diet Induced Thermogenesis)」である。生きている限り無条件に消費され、そう簡単に変わることはないので、家計簿の中では「税金」や「保険料」にあたる。富裕層並みのかなり高めの税率である。

 同じくほぼ確実に消費されるのが「非運動性活動熱産生(NEAT:Non-Exercise Activity Thermogenesis)」と呼ばれるもので、何気ない日常の作業(家事や買い物など)で使われる部分だ。非運動性とは言っているものの、筋肉を使っていることは変わらず、その運動強度が違うだけである。その消費カロリーは個人差が大きいが、家計簿で「食費」や「光熱費」がゼロにならないのと同じように、非運動性熱産生もゼロなることはまずない。

 最後は「意識的な運動」である。これは、家計簿的には「交際費」といったものになるだろうか。ただ、消費エネルギー全体に対する割合を増やそうと思うと「短時間に駄菓子屋で1万円を使いきる」ような作業となる。意識している分「運動した割には体重が減らない」という結果になりがちだ。こうして見ると、消費カロリーを意図的に増やすのは意外と難しいことが分かる。

同じ食事と運動なのに肥満・痩身、カギは基礎代謝にあり

 また、「食事や運動の量・内容などほぼ同じ生活をしているのに、太りやすい人とそうでない人がいる」という例も聞いたことがあるだろう。言ってみれば、収入・保険料・光熱費・食費・交際費などすべてがほぼ同じ2世帯のうち、片方の世帯だけ貯金がどんどん増えていくような状況である。いったい何が違うのか。

 消去法で考えると、残る要因は基礎代謝である。基礎代謝は、自分の意思で変化させることができず、生きている限りずっと維持され、人によってその特性がわずかに異なる。基礎代謝を維持する上での中性脂肪の合成・取り込み・分解は、さまざまなホルモンや自律神経のバランス、遺伝的要因などによって決められている。

 例えば、中性脂肪の分解を促進する働きがあるアディポネクチンというホルモンは、遺伝的にさまざまな型があり、それぞれの遺伝子型でその作用の強さが違う可能性が示唆されている。すなわち、家計簿的には税金の控除額が微妙に違うような状況だ。

 そして、基礎代謝は1日の時間帯によっても変化するのである。いよいよ「夜食は太るのか」の核心へ迫る話となる。

後篇へ続く)

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1964年東京生まれ。生物・化学系ライター。熊本大学理学部生物学科卒業。北海道大学理学研究科博士課程修了。博士(理学)。旧工業技術院(現・産総研)、秋田県立農業短大附属属研究所などの流動研究員、高校教諭等を経て現在に至る。最近はその辺に転がる岩石の来歴が気になってしょうがない。


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