あまりにも出来の悪い例え話であることを割り引いたとしても、これでは何をやりたい政党なのかは、まったく不明である。肝心のメニューが、何もないからだ。

 そもそも若狭氏自身、元は自民党の衆院議員であった。その自民党を離党したのは、今年夏の都議選で「都民ファーストの会」を応援するためであり、自民党政治のあれこれを批判して離党したものではなかった。要は、小池都知事にくっついていくというだけのことなのだ。

 自民党政治の何をどう変えるのか、この肝心要のことをまったく語ることもできずに新党などとは、片腹痛いと言うしかない。そもそも小池氏自身も、国政のどこをどう変えるのかという構想など持ち合わせていないと思う。物事は、ほどほどということも大事だ。知事選、都議選の勢いを駆って、国政まで手を伸ばすのは、はっきり言ってやり過ぎである。まずは都政の課題にこそ全力で取り組むのが本分と言うべきだろう。

小池氏には圧倒的なリーダーシップがあった

「民進党を出て、新たな政権政党をつくるため立ち上がりたい」、これは民進党を離党した細野豪志衆院議員の言葉だ。しかし、細野氏らが、なぜ民進党を離れたかと言えば、明確に語られているのは、共産党との選挙共闘に異を唱えたということだけである。「何かを成し遂げたい」というのではなく、「共産党との共闘は嫌だ」というだけのことなのだ。

「新たな政権政党をつくる」というのは、自民党に代わる政権政党をつくるということだ。そのためには、圧倒的なリーダーシップを持つ政治家が不可欠である。小池都知事が知事選や都議選で大勝利を収めたのは、それがあったからだ。

 小池氏自身が「崖から飛び降りる決意」と語ったように、同氏の挑戦は、半端な決意でできることではなかった。自民党、公明党の連合は巨大な力を持っていた。そこに正面からぶち当たっていったのである。もし知事選挙で敗北していたなら、小池氏の政治生命は完全に終わっていただろう。まさに政治生命を賭けた挑戦だった。