「左翼ファシズムへの転換点はオバマだ」

 著者は前述の保守系メディア、「ブライトバート・ニュース」とのインタビュー*4でさらにこう述べている。

 「今、米国には根深いファシスト的傾向が見受けられる。皮肉なことにそのファシスト的傾向は反ファシストを錦の御旗にして行進している」

 「言い換えると、奴ら(リベラル派)は反ファシズムの衣をまといながらトランプや保守勢力を追い落とそうとしているのだ」

 「リベラル派の牙城となっている学界が言い出し、それが主要メディアやハリウッドによって伝播されている『真っ赤な大嘘』とは、トランプがあたかもヒトラーの再来であるかかのような主張をしていることもある」

 「確かにトランプは『米国第一主義』を唱えるナショナリストだ。ところが多くの知識人までがナショナリスト=ファシストだと思っている」

 「冗談ではない。ナショナリストはファシストではない。そんなことを言ったらガンジーもマンデラもチャーチルも皆ナショナリストだ」

 「かっての米国は、保守とリベラルが激論を戦わしてきた。1980年代のロナルド・レーガン(第40代大統領)とティップ・オニール(民主党重鎮、下院議長)とは激しくやり合った」

 「議論が終わり、政策が決定した後、2人はビールを飲み交わす仲だった。こうした保守とリベラルとの関係は消滅してしまった」

 「左翼ファシズムへの転換点はバラク・オバマ(第44代大統領)を選んだ時点からだった。民主党は、ビル・クリントン(第42代大統領)までは良かった。ところがオバマになって民主党はギャングスタ―イズム(暴力団的志向主義)に大きく舵を切った」

 「ヒラリー・クリントン(前民主党大統領候補)もオバマと同じ穴の狢に過ぎなかった。反対する勢力に対して連邦捜査局(FBI)を使って盗聴し、国内歳入庁(IRS)を使って銀行口座をチェックするなどファシスト的手法を行使したのは奴らだった」

*4http://www.breitbart.com/radio/2017/08/04/dinesh-dsouza-big-lie-fascism-crept-deeply-bowels-left/

 本書を通読して感ずるのは、激しさを増す米極右と極左の「ナチス呼ばわり」の根っこの深さだ。

 1つだけはっきりと分かったことは、これほどヒトラーを忌み嫌う米国人と米社会の土壌には密かに、しかし間違いなく染み込んでいるヒトラーとの「腐れ縁」だ。

 罵り合う極右も極左もその体内にはヒトラー的「白人至上主義」が潜んでいるのだ。これは非白人である第三者には分からぬブラックホールなのかもしれない。