難しさの第1のポイントは、英国の国民投票の時にも示されたように、ブレグジットという構想自体の曖昧さにある。例えば、国民投票の際に公式の離脱派「Vote Leave(ボート・リーブ)」は、保守党の自由市場主義者と古典的な自由主義者で占められていたが、ライバルの離脱派「Leave.EU(リーブ・ドット・EU)」は移民の抑制を強調していた。

 それ以降、後者が持つ粗野な明快さは、前者に見られる理想主義的な熱意を圧倒している。メイ首相は今年1月にロンドンのランカスター・ハウスで行った演説で、英国を「世界中で尊敬される偉大なグローバル国家」と形容することを試みた。デービスEU離脱担当相は今月、英国は「気質においても態度においてもリベラルで国際的」だと述べた。しかし、このブランドは弱く、混乱している。

 もし筆者がコンサルタントだったら、ここは一息入れて、EUとの協議が移行措置をめぐる交渉に至ることを祈りましょう、そして英国は移民に門戸を開いていることをあらためて示しましょう、と助言することだろう。そうすれば、ブレグジットする英国を、EUに根付く安定した協調組合主義よりもリスクを取ることを好む(ブレグジットは紛れもないリスクだ)、起業家的で進取の気概に富んだ国として、再度売り込むことができる時期が来るかもしれない。

 そうすれば、ブレグジットが今日引き起こしている当惑や怒りとは対照的な、嫌々ながらではあるが敬意を払おうという動きが出てくるかもしれない。あるいは、英国はコカ・コーラを見習って、ブレグジットという構想をマーケティングの大失敗とみなしてそっくりご破算にし、「EUクラシック」に戻るのもアリかもしれない。

 コカ・コーラは1985年に調合と材料を変えた「ニュー・コーク」を投入して大失敗し、その2カ月後に従来の調合と材料による「コカ・コーラ・クラシック」を復活させた。その時のスローガンは「Red, White and You」だった。「EUクラシック」のスローガンも、語呂合わせで「Red, White and EU」にしてみてはどうだろうか。

By John Gapper
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