温泉に替わる新たなコンテンツは?

 次に筆者が課題と感じているのは、温泉に続く新たなコンテンツがそろそろ求められているということです。

 現在、中国人の訪日旅行において最も誘致力が高いコンテンツと言えるのは間違いなく温泉です。しかし、日本に旅行に来て温泉を体験したことがある中国人はもはや少なくありません。今後も温泉が有力なコンテンツとして機能し続けることは間違いないでしょうが、さらにリピーターを獲得していくためには、温泉に続く新たな別の体験型コンテンツが必要だと思われます。

 では、どのようなコンテンツが今の日本にあるのか。筆者は「茶道体験」が有力な候補になりうるのではないかとみています。

 というのも、中国では日本と同様にお茶の喫茶習慣が深く浸透しており、茶道具に対する関心も低くありません。現在も、南部鉄器をはじめとした日本の茶道具が高い人気で売れており、広く認知されています。また日本の茶道ほど格式化されてこそないものの、中国にも「茶芸」というお茶の作法があります。日本の茶道が体験型コンテンツとして受け入れられる余地は大きいように思えます。

 もしも茶道が訪日旅行のコンテンツとして受け入れられれば、単純な観光収入だけでなく茶道具や日本茶の継続的な輸出にもつながる可能性があります。家電などの商品は1回だけの買い切りで終わりがちですが、茶道などの文化発信は、関連商品の輸出によって継続的な収入が見込めます。

 今後、日本は観光戦略と合わせ、文化の輸出も考えていくべきでしょう。その際は、できればその道の経験者なりが中国現地で指導に当たるというのが理想的です。

 しかし、筆者はこんなことを書いていますが、かつて京都に住んでいながらついぞ茶道を学ぶことはありませんでした。趣味は何ですかと聞いて、「お茶を少々・・・」という女の子にも一度も会ったことがありません。果たして中国で日本の茶文化を広めてくれる人がどれだけいるのかというと心もとなく、この点が大きな課題なのかもしれません。