この背景として考えられるのは、まず、越境ECで中国国内にいても日本の製品を購入できる機会が増えたことです。また、「日本製家電」のブランド力が落ちてきていることも原因でしょう。鴻海精密によるシャープの買収や、東芝の家電部門売却など、日本の家電メーカーの凋落は中国でも日々報じられています。一方で、中国家電メーカーが着々と実力をつけてきており、日本製品の競争力はまぎれもなく低下しています。

 そんな家電に代わり関心が高まっているのは、漢方薬をはじめとした健康関連商品です。「漢方薬は中国が本場じゃないか」と思われるかもしれません。しかし、実は日系メーカーが漢方薬に関する大半の特許を取得しており、世界単位で大半の市場シェアを握っているのです。

 もともと中国人は健康関連グッズに目がありません。また、中国では偽物が多く出回っており、日本製品には品質や信頼面での優位性もあることから、わざわざ日本に来て大量に購入しているようです。

 ただこうしたブームの陰には、中国人ガイドと結託して日本で法外な値段の漢方薬を販売するという業者もいるとされます。こうした不法業者の摘発は、中国人旅行者に限らず訪日観光客を広げていく上で今後大きな課題となってくるでしょう。

外国人には分かりにくい宿泊施設の料金設定

 以上、中国側から見た訪日旅行の現況を取り上げましたが、ここからは筆者が考える、ホストとなる日本側の課題について述べていきます。

 まず一番大きいのは、絶対的な宿泊施設の不足です。

 今後も訪日客数が増え続けると仮定した場合、現状でも不足している宿泊施設がさらにひっ迫することは必至です。民泊の規制緩和という対策もありますが、部屋数を増やすだけでなく、受け入れ方法なども工夫していく必要があるでしょう。

 また、宿泊施設に関して特に筆者が気になっているのが日本独特の料金体系です。

 日本の宿泊施設における料金体系は基本的に宿泊人数に基づいています。しかし、これは国際的に珍しく、中国をはじめ海外の宿泊施設は部屋単位の料金体系となっています。これまでの慣習もあってなかなか難しいでしょうが、外国人にも分かりやすい料金体系の設定はやはり検討していくべきでしょう。