米国、「最強」の対北制裁を提案へ 安保理、核実験受け緊急会合

北朝鮮問題に関する国連安全保障理事会の緊急会合で発言するニッキー・ヘイリー米国連大使(2017年9月4日撮影)。(c)AFP/KENA BETANCUR 〔AFPBB News

レッドラインを突きつけ合う米国と北朝鮮
「チキンゲーム」へ

 米国は、北朝鮮が米国本土を確実に攻撃できる核弾頭搭載のICBMを保有することを絶対に認めることができない。それが、米国の北朝鮮に対するレッドラインであろう。

 他方、北朝鮮は、最高の国家目標である金王朝の体制存続と朝鮮半島統一のための「最後の切札」である核ミサイルの開発、およびそれを中心とする軍事力の行使と経済社会活動を麻痺させる石油禁輸は絶対に阻止しなければならない。

 それが、北朝鮮の米国(その他日本を含む反北国際社会)に対するレッドラインであろう。

 日本は、アメリカ合衆国(America)、英国(Britain)、中華民国(China)およびオランダ(Dutch)が行った対日貿易制限、すなわちABCD包囲網と、最終的には石油禁輸によって苦境に陥り、その難局を打開するために大東亜戦争(太平洋戦争)へと突入せざるを得なかった。

 それを歴史的先例とすれば、日米などが主張している対北石油禁輸を北朝鮮のレッドラインと見なすことに、さほど異論はないであろう。

 北朝鮮は、2017年7月4日、弾道ミサイルの発射実験を行い、ICBMだと発表した。米国は当初慎重であったが、後にICBMだと認めた。そして9月3日、北朝鮮は2016年9月9日以来、6度目となる核実験を強行した。北朝鮮は、ICBMに搭載可能な水爆実験に成功したと主張している。

 報道によると、2017年7月、米国防情報局(DIA)は、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載可能な小型核弾頭の生産に成功したとの機密分析をまとめた模様である。

 また、多くの専門家は、弾道ミサイルの実戦配備に必要な弾頭部の大気圏再突入技術を保有しているかどうかは不透明だが、来年末までにこの技術を獲得する可能性があるとみているが、DIAはさらに時期を早め「2018年前半には、核弾頭を載せたICBMを取得する可能性が高い」と指摘している。

 日本政府も北朝鮮の核兵器について、17年版防衛白書で「小型化・弾頭化の実現に至っている可能性が考えられる」と分析している。

 このように、北朝鮮は、米国本土を確実に攻撃できる核弾頭搭載のICBMの保有に限りなく近づいていると見られており、すでに米国は北朝鮮からレッドラインを突きつけられた格好だ。

 他方、8月29日、北朝鮮が事前通告なしに日本の上空を通過する弾道ミサイルを発射したことを受けて、国連の安全保障理事会は日本時間の8月30日朝、北朝鮮を強く非難しミサイル発射の即時停止を求める議長声明を全会一致で採択した。