(英エコノミスト誌 2017年9月2日号)

中国の習主席、トランプ氏に北朝鮮情勢で抑制求める グアムは防衛準備整う

ドイツ・ハンブルクで開催されたG20首脳会議に合わせて会談を行った米国のドナルド・トランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席(2017年7月8日撮影、資料写真)。(c)AFP/SAUL LOEB〔AFPBB News

それでも、米国主導のアジアの秩序は恐らく保たれるだろう。

 ドナルド・トランプ氏が大統領に選ばれたことによる最大の敗者は米国自身だったとすれば、アジアは少なくともそれに次ぐ敗者だと主張できるのではないか――。政策立案者やアジア問題の専門家には、そう考える向きが多い。

 例えばカリフォルニア大学バークレー校のT・J・ペンペル氏は、トランプ氏は大統領に就任してわずか7カ月で、アジア太平洋地域と米国の関係という「複雑ながら長持ちしている仕組みに鉄球をたたき込んだ」と形容している。第2次世界大戦以降、この地域の秩序をずっと支えてきた米国のリーダーシップが、トランプ政権下で危険にさらされているとの見方はアジア全域に広がっている。

 なるほど、懸念には事欠かない。トランプ大統領は何をやるか予測できない。それだけではない。外交政策に知的な関与をしておらず、自分がツイッターに大言壮語を書き込むとき以外は外交活動そのものを蔑んでいる。アジアの多国間貿易協定に対する米国の取り組みを打ち切り、世界貿易の5分の2を占める計12カ国で自由貿易圏を作ろうという環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉から離脱した。

 エコノミストの間では、この交渉がまとまっていればすべての参加国が豊かになれただろうと言われているが、トランプ氏はこの協定を「米国企業への攻撃」と見なして切り捨てた。日本や韓国といった昔からの同盟国にも批判の矛先を向け、米国の安全保障にただ乗りしているうえに不公正な貿易を行っているとかみついた。

 北朝鮮による核の脅威がいよいよ増してからは、さすがのトランプ氏も態度を変えた。しかし、今年8月上旬に口にした、金正恩体制が脅しを続けるなら「炎と怒り」をお見舞いするという約束では、韓国と日本を安心させることも、北朝鮮に急ピッチなミサイル開発を思いとどまらせることもできなかったようだ。