しかし今は違う。企業が提供するサービスは自社の顧客のためだけではなく、1つの部品として利用できるように広く開放されている。これまでは銀行の顧客が残高や入出金明細など銀行が持つデータにアクセスするには銀行のWebサイトまたは銀行のスマートフォンアプリを使う必要があったが、銀行ではなく会計処理クラウドサービスからも取り出せるようになっている。これは銀行がデータにアクセスするためのAPIを解放しているからだ。

広く利用されているAPIというとGoogleの地図APIがある。GoogleはGoogleマップをAPIから利用できるようにしているため、誰もが自分のWebサイトにGoogleマップを埋め込み、自社のプログラムと組み合わせて独自の地図表示を可能としている。

APIが生み出す新しいビジネス

APIを通じて自社が持つデータやサービスを幅広く提供することで、ビジネスの姿も業界プレーヤー変わろうとしている。経路案内や気象情報など自社の強みとなるデータをAPIで解放して自社データを収益化したり、APIでサービス連携することで自社サービス利用者を獲得したり、複数のAPIを組み合わせて何らかの新しいサービスを提供するなど、APIで新しいビジネスが生まれてきているのだ。

APIはプログラムからコールすればデータや機能を利用できるため、手軽にプログラムを連携することができる。ただしこの便利さの背後には高度な技術もある。個人の金融データを保護するために確実に認証するためにセキュリティを万全にしておく必要があるし、不特定多数がアクセスするとなると性能が劣化しないように処理能力を高めておく必要があるためだ。

いま企業データやサービスを提供するためのAPIがビジネス化し、APIが連携する経済圏はAPIエコノミーとして発展を見せている。IBMは2015年11月の時点で市場を2.2兆ドルと推定している。今後APIを提供する企業が増えれば市場規模は広がるだけではなく、新しいビジネスが生まれる可能性も大いに広がる。可能性は無限大だ。