(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年8月28日付)

独社民党、新党首にシュルツ氏 メルケル首相の最大のライバルに

独ベルリンで行われた社会民主党(SPD)の臨時党大会で演説したマルティン・シュルツ氏(2017年3月19日撮影)。(c)AFP/Tobias SCHWARZ〔AFPBB News

 先週はまるで、ドイツの選挙戦に付きまとうためにゲアハルト・シュレーダー前首相の霊が戻ってきたかのように思えた。ドイツ社会民主党(SPD)党首として首相の座を狙うマーティン・シュルツ氏は、ドナルド・トランプ米大統領を攻撃し、米国の核兵器をドイツ国土から必ず排除すると誓うことで、2002年の総選挙でシュレーダー氏がSPD辛勝を確保するのに貢献した反米作戦を真似ていた。

 今から15年前、シュレーダー氏は米国の外交政策を批判することで票の獲得を狙う選挙戦を展開し、1945年以降のドイツ民主主義において新境地を切り開いた。選挙に向けた集会という集会で、ドイツはジョージ・W・ブッシュ大統領率いる米政権のイラク侵攻計画には一切関与しないと主張した。

 イラクについては、歴史がシュレーダー氏の正しさを証明したと言えるだろう。だが、一部のドイツ人は2002年に、同氏の選挙運動は米国の安全保障の傘に依存している国で大きな反米感情を駆り立てる恐れがあると心配していた。いずれにしても、バラク・オバマ米大統領と、シュレーダー氏の後任のアンゲラ・メルケル首相とのパートナーシップの時代に、米独関係は改善し、繁栄すらした。

 核兵器に関するシュルツ氏の方針は、シュレーダー氏が利用したものと似た平和主義の本能に訴えかける。だが、一部からは痛烈な批判を招いた。欧米関係の専門家でワシントンに本拠を構えるウルリヒ・シュペック氏は、「それは恐らく北大西洋条約機構(NATO)の終わりと欧州連合(EU)の終わりを意味する」とツイートした。

 9月24日の総選挙の前にシュルツ氏が「トランプ・カード」を切るのは、ほとんど避けられないことだった。共和党の米大統領はドイツで恐ろしいほど不人気だ。独インフラテスト・ディスマップが6月に公表した調査では、ドイツ人の92%がトランプ氏に批判的な姿勢を表明し、好意的な人はわずか5%にとどまっていた。

 同じ世論調査によると、ドイツ人の21%が米国は信頼できるパートナーだと答え、74%が米国は信頼できないと見ていた。これは、ロシアに対するドイツ人の態度で記録されたのと同じレベルの信頼感と不信感だ。