(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年8月23日付)

仏ファーストレディは「ルイ・ヴィトン」がお好き

仏パリで行われた大統領就任式でのエマニュエル・マクロン大統領とブリジット夫人(2017年5月14日撮影)。(c)AFP/STEPHANE DE SAKUTIN〔AFPBB News

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領がこの夏、妻のブリジットさんに公的な役目を担わせると決めたことが、フランス国民の“統合失調症”の発作を引き起こした。フランスの人々は、大統領には皇帝のように振る舞ってほしいと思っている一方で、選挙で選ばれたわけではない大統領夫人の話になると熱烈な共和主義者に変貌するのだ。

 8月の暑い最中、それも支持率が急低下しているこの時期に打ち出された今回の計画は、労働市場改革法案の議会通過を試みる困難な新会期を間近に控えたマクロン氏にとって、貴重な政治的資本を消耗する要因になってしまっている。エリゼ宮(大統領官邸)が21日に、ブリジット夫人の立場を明確にするために公表した2ページの「勅許状」には、歴代の大統領夫人がホステス・イン・チーフ(最高おもてなし責任者)として果たしてきた義務をいくぶん超えることが書かれているためだ。

 特に目を引くのは、マクロン氏が教育、保健・医療、あるいは文化について、文学の教師だったブリジット夫人に助言を求められるとしていることだ。

 夫人が政府から俸給を得ることはないが、そのスケジュール調整を支援する補佐官と、手紙に返事を出すためのアシスタント数人が手配される。夫人のもとにはこの3カ月間でたくさんの手紙が届けられており、フランソワ・オランド前大統領の元恋人であるヴァレリー・トリールヴァイレール氏が1年間に受け取った量をすでに上回っていると言われている。

 大統領の側近筋は、この計画によって不透明な状況が透明になると述べている。確かに、もてはやされるだけの主婦では終わりたくないと考える大統領夫人が政策に影響を及ぼしたことは、過去にもあった。例えば、セシリア・サルコジ氏は元大統領と離婚する前、拘束されていたブルガリアの看護師を解放させるためにリビアに飛んでいる。