(英エコノミスト誌 2017年8月19日号)

ドゥテルテ大統領、約1週間ぶりに公務復帰 健康不安説を否定

フィリピンの首都マニラにあるマラカニアン宮殿(大統領府)で演説するロドリゴ・ドゥテルテ大統領(2017年6月1日撮影、資料写真)。(c)AFP/NOEL CELIS〔AFPBB News

雇用と投資に関して言えば、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は破壊者というよりは改革者だ。

 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、経済問題でもほかの分野と同様に、ポピュリスト(大衆迎合主義者)らしく派手なパフォーマンスをやってのける。今月には、国立大学の授業料を無償にする法律に署名をし、大半の閣僚をあっと言わせた。その資金を政府はどこから捻出するのかと問われると、「分からない。これから決めなければならない」と答えていた。

 同じようにドゥテルテ氏は、フィリピン国民の約30%が結んでいる有期雇用契約の類いを厳しく制限することも約束した。中国に対しては、フィリピンのインフラに投資することの見返りに忠誠を誓っている。そして今年4月には、国内農家の支援策としてコメの輸入を停止する計画もぶち上げた。

 エコノミストの間からは、大学授業料の無償化はどちらかと言えば貧しい階層ではなく豊かな階層への補助金になるとの指摘が出ている。大学生のうち、所得分布で最下位20%の世帯の子供が占める割合は12%にすぎないからだ。また、ほかの政治家たちによれば、無償化に要する費用は年当たり300億~1000億フィリピンペソ*1に達する可能性があるという。

 私立大学は、入学者数の急減を恐れて身構えている。しかし、シンクタンク「経済改革に向けたアクション」のフィロメノ・サンタ・アナ氏によれば、ドゥテルテ氏が打ち出す急進的な経済政策のほとんどは、そのような大きな変化をもたらす前に部下によって骨抜きにされたり棚上げにされたりしている。「大統領のポピュリズムは普通、経済官僚が無力化してしまう」というのだ。

 その結果、大風呂敷が広げられてきたにもかかわらず、ドゥテルテ氏の大統領就任1年目に取られた経済政策は驚くほど控えめなものとなっている。

*1=8月21日のレートで約636億~2120億円。