熟しても赤くならなく果皮が白く、すっぱくなく甘い――。その希少価値でアジアの富裕層で大ブームの「白いちご」。1キロ当たり、約3万円とか。関西空港などでも人気の1つ。世界一高価な日本の果物の1つとして知られる(関西空港、筆者撮影)

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 220億円の損失――。

 韓国に日本ブランドのイチゴの品種が流失した結果、日本産の輸出が阻まれ、韓国産に置き換えられた日本の損失金額だ(農水省)。この損失額に対し、日本産イチゴの昨年1年間の輸出額は、11億円に過ぎない。

 韓国のイチゴ栽培は、90%が日本の原種をもとに育成されたものだという(農水省)。

 韓国への流出が最終確認されたのは、イチゴ収穫量日本一の栃木県が育成した「とちおとめ」「栃の峰」や、「レッドパール」「章姫(あきひめ)」。

 農水省によるとこのうち、韓国の「錦香(クムヒャン)」はとちおとめと章姫を、「梅香(メヒャン)」は章姫と栃の峰を、「雪香(ソルヒャン)」はレッドパールと章姫をそれぞれ交配させ、開発したものという。

日本産を交配し世界へ輸出する韓国

 つまり、日本のとちおとめは「錦香」、栃の峰は「梅香」に“変貌”し、別名で「韓国産」として、「海外市場で安価な価格で売られ、日本の輸出機会を奪っている」(農水省)。

 ちなみに、韓国のイチゴ輸出量は約4000トン。約400トン(2015年)の日本の10倍に上る。

 その結果、輸出先の香港では、日本産の輸入イチゴが約4000円から6000円(1パック)のところ、韓国産は(約3000円)のほぼ半額。

 本来、韓国の原産はほとんどなく(90%以上が日本産)、しかも「韓国産は、もともと酸味が強く、日本のようなジューシーさも、甘みもなく、果肉も硬い」(農水省)。

 そこで「韓国産」として、日本産の“模倣品”を開発。甘みを加え、安価で、東南アジア市場に攻勢をかけている。知的財産の保護整備が整っていないアジアでは、イチゴの「紅ほっぺ」だけでなく、ぶどうの「シャインマスカット」までもが模倣品として市場に出回る深刻な事態に陥っている。