(英エコノミスト誌 2017年8月19日号)

白人主義集会の衝突「双方に非がある」 トランプ氏、批判に猛反発

米ニューヨークのトランプタワーで、バージニア州シャーロッツビルで発生した事件に関する報道陣からの質問に答えるドナルド・トランプ大統領(2017年8月15日撮影)。(c)AFP/JIM WATSON〔AFPBB News

度重なる発言撤回、自己中心的な振る舞い、そして曖昧な表現を使ったごまかしは大統領にふさわしくない。

 米国のドナルド・トランプ大統領を擁護する人々の主張には2種類ある。第1の主張は、彼は国家の行き過ぎを抑えてくれるビジネスマンだ、というもの。第2の主張は、左寄りのエスタブリッシュメント(主流派)のエリート連中がポリティカル・コレクトネス(政治的な公正さ)の観点から決めたタブーを打ち砕くことで、米国が堂々たる姿を取り戻すのに貢献してくれる、というものだ。

 どちらも当初から希望的観測であるように思われたが、8月15日にニューヨークで行われた記者会見で完全に破綻した。

 トランプ氏が原稿なしで臨んだこの会見は、8月12日にバージニア州シャーロッツビルで生じた暴力的衝突に対処する3度目の試みだった。だが、前日14日の会見よりも後退した内容だった。

 14日の会見では、南北戦争で南軍の司令官だったロバート・リー将軍の銅像を撤去する計画に反対するデモ行進を行い、それに反発した人々(その中には左派も含まれていた)と殴り合いを演じた白人至上主義者たちを――あらかじめ用意した原稿を読みながら――非難した。

 15日のニューヨークでは言いたい放題で、就任間もない大統領首席補佐官が会見場の隅でうなだれるなか、「双方」に非があると再度強調した。トランプ氏がどちらの側に親近感を抱いているのか疑う余地はなかった。

 トランプ氏は白人至上主義者ではない。ネオナチを繰り返し批判していたし、ヘザー・ハイヤーさん*1 の殺害も非難していた。それでも、トランプ氏のころころ変わる対応には、米国民にとって恐ろしいメッセージが込められている。同氏は米国という共和国の救世主であるどころか、政治の世界では手際が悪く、道徳上の過ちを犯し、気質の面からも大統領職には不向きである、ということだ。

*1=シャーロッツビルで車にはねられ、命を落とした女性。