管理職の意識改革をどう実現するか

 では、どのような対策を講じればいいのか。

 まず、【1】の「管理職の役割定義」だが、「個々にそれぞれ気づいてくれ」ではなく、やはり会社・組織として明確化していくべきだろう。

 例えば、飲食チェーン大手のグルメ杵屋では「働き方改革=意識を変える」と明確に定義している。椋本充士社長は「これからは店長自らが頑張って実績を上げることは期待していない」「店長は教育者であるべき」と役割を明確に伝えている。その理由は明白で、“店長自らの頑張り”や“無理のある働き方”は、アルバイトや他の従業員に良い影響を与えないからだ。会社の事業継続のためには店長クラスの意識改革が欠かせないと位置付け、教育活動や第三者の評価・支援を行っている。

 【2】の教育についてだが、むろんマネジメントスキル向上を図りたい管理職への教育・研修という方法論もあるが、むしろ部署単位で、改善を目的とした会議を定例化する“鍛錬の場”を作ってしまうことが極めて有効的効果的である。

 この場(会議)で取り上げられるテーマは、各部署が取り組む仕事の特性によって様々だが、必ず取り上げるべきテーマは「組織で取り組むタイムマネジメント」である。

 継続していくと必ず「どの仕事の優先度を上げて取り組むのか?」あるいは「優先度を下げるべきなのか?」といった議論になる(下の図)。