(英エコノミスト誌 2017年8月5日号)

生物を改変する「遺伝子ドライブ」技術、研究推進に賛否

仏西部ナントの研究所で、DNAサンプルを確認する研究者(2015年12月10日撮影、資料写真)。(c)AFP/GEORGES GOBET〔AFPBB News

保険会社は逆選択について心配し、保険契約者は差別について心配している。

 もし遺伝子検査で自分ががんやアルツハイマー病になるリスクが高いことが分かるとしたら、あなたは検査を受けますか――。そうした検査が利用しやすくなるにつれて、イエスと答える人がどんどん増えている。その結果、保険業界が頭痛の種を抱えている。

 ベーシックな予見的遺伝子検査はかつて医学的な理由に限って使われていたが、今ではオンラインで数百ドルで注文できる。米カリフォルニア州の23アンドミーという遺伝子検査会社は、2007年以降、およそ4000リットルの唾液を集め、家系や健康リスク、子孫に受け継ぐ可能性がある特性について約200万人に情報を与えてきた。

 同社は今年4月、規制当局から、遅発性アルツハイマー病やパーキンソン病など10種類の病気と遺伝子疾患に関係したリスク要因についてスクリーニング検査を実施する承認を得た。この裁定により、ほかの会社が堰(せき)を切って消費者に直接サービスを販売するようになる可能性がある。

「情報は力だ」。遺伝子検査を受ける多くの人はそう主張する。だが、保険会社はそうした情報に対する平等なアクセスがなければ、抜け目のない顧客に出し抜かれると心配している。

 他方、消費者団体は、もし保険の引受会社が実際にそうした情報にアクセスできるとしたら、「悪い」遺伝子を持った人が不当に保険に入れない状況に追い込まれる恐れがあると危惧している。いずれにしても、科学の進歩は保険を大きく揺るがす公算が大きい。