(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年8月4日付)

鎮痛薬の過剰摂取、米国で低年齢層の入院件数倍増

オピオイド系鎮痛剤のオキシコドン。米コネチカット州ノーウィッチで(2016年3月23日撮影、資料写真)。(c)AFP/Getty Images North America/JOHN MOORE〔AFPBB News

 今から20年前、米ミシシッピ州は法律の歴史に足跡を残した。ニコチンの中毒性を軽んじたとして、州司法長官がたばこ会社を提訴したのだ。1997年に州は36億ドルの損害賠償金を勝ち取り、たばこ会社が翌98年に全米46州および連邦政府機関と2000億ドル超の巨額和解金の支払いで合意する道を開いた。

 そのミシシッピ州が今、この勝利を再現しようとしている。今度の相手はオピオイド(医療用麻薬)だ。民主党に所属するジム・フッド州司法長官は昨年、薬物の中毒性を隠したと主張して医薬品会社数社に対する行動を起こした。6月には正式に、本格的な訴訟が起こされた。

 ワシントンで勃発した心理劇のために、この訴訟はまだ大きな見出しを飾っていない。だが、投資家と政策立案者がこれを無視したら愚かだ。すでに国中の地域社会を襲っている米国のオピオイド危機は急激に、国家・経済的な重要性を帯びた重大な問題と化しつつあるからだ。

 ワシントン中心部から遠く離れたところで、訴訟が雪だるま式に増えている。オハイオ州は提訴に踏み切った。オクラホマ州も、シカゴをはじめとした数十の地方自治体・都市も提訴した。そして一連の訴訟は、たばこ大手に対して使われたのと同じテーマを軸としている。医薬品会社は、オピオイド製品を不当販売し、依存症と死亡事故の爆発的増加を引き起こしたとして訴えられているのだ。

 原告側は、オピオイド依存症の治療費をカバーするために巨額損害賠償を求めている。これもまた、たばこ訴訟と似た展開だ。

 歴史は繰り返すのだろうか。投資家は驚くほど安穏としているように見える。訴訟の標的になっているパーデューという会社は非上場企業だ。だが、エンドー、デポメッド、マリンクロットといったほかの医薬品会社は上場している。これらの企業の株価は今年、バイオテクノロジー株指数を下回って推移しているが、暴落はしていない。