(英エコノミスト誌 2017年8月5日号)

北朝鮮のミサイル脅威、冷戦前後の世代で意識の差 米NY市民

米ニューヨーク・マンハッタンの街角の建物にある「核シェルター」の標識(2017年7月30日撮影)。(c)AFP/EDUARDO MUNOZ ALVAREZ〔AFPBB News

金正恩氏に歯止めをかける妙案は存在しない。だが、うっかり戦争に突入する事態は最悪だ。

 北朝鮮がこれほどのゴタゴタを引き起こすのは、考えてみれば妙な話だ。この国は決して超大国ではない。経済規模は、兄弟分にあたる民主的な資本主義国、韓国の50分の1にすぎない。米国人は北朝鮮の国内総生産(GDP)の2倍の金額をペットのために費やしている。

 それにもかかわらず、金正恩(キム・ジョンウン)氏の後れた独裁体制は、核兵器をちらつかせる瀬戸際政策で世界中の耳目を集め、米国大統領の関心をも引き寄せた。

 7月28日には、ロサンゼルスを攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行った。こうしたミサイルに核弾頭を搭載する能力も、ほどなく獲得するだろう。すでに、韓国や日本を狙ったミサイルには搭載できるようになっている。

 この恐ろしい兵器を管理しているのは、神格化された英雄として育てられた、人の命を何とも思わない人物だ。巨大な強制収容所に送り込まれた無辜の市民がハンマーで殴り殺されているのが、その何よりの証拠だ。7月には北朝鮮の外務省が、もし現体制の「最高権威」を脅かす国があれば、北朝鮮はそうした国々を「核を含む」あらゆる手段で「先制的に全滅させる」と明言した。ここまでくれば、警戒感を抱かない方がどうかしている。

次の朝鮮戦争はどんなものになるのか

 とはいえ、最も重大な危険は、一方が他方を壊滅させようと突然動き出すことではない。双方が読みを誤り、事態があっという間にエスカレートして、誰も望んでいない破局に至ることだ。本誌エコノミストは今週号の特集で、米国と北朝鮮が核戦争に突き進むシナリオの1つを順を追って説明している。