フランスの銘酒アルマニャックを買い漁る中国

バブルの帝国よありがとう、しかし日本も負けじと25%増に

2010.12.16(Thu) 鈴木 春恵
筆者プロフィール&コラム概要

 訪れた作り手の1つ「Delord(ドゥロール)」の蔵を案内してくれた、ファミリー4代目のジェロームさんは言う。

1年で16樽分のお酒が揮発して消える

「天使の取り分」に包まれた蔵のなか

 「1年で1.6%がとびます。その数字だけ聞くと、少ないと感じるかもしれませんけれど、ここに1000樽あるとして、年に16樽分がなくなる計算になりますね」

 この現象のことを土地の人たちは古くから「part des anges(パール・デ・ザンジュ=天使の取り分)」と呼びならわしてきた。なんとも粋なネーミングであるが、年間16樽となると、天使の取り分もなかなかの量ではある。

 歳月は銘酒にもいろいろな作用をもたらすものだが、こうしてアルコール度が自然に下がるにつれてまろやかにもなっていく。

 そしてボトリングの時を待つのだが、この樽熟成期間が4~9年のものをVSOP、7年以上になるとXOというカテゴリーに分類される。

ドゥロール4代目になる兄弟、ジェロームさん(右)とシルヴァンさん

 ちなみに、2013年度からは、XOの年数は10年以上に引き上げられる。また、10年以上のものを示すフランスでの呼称は「Hors d’age」(オー・ダージュ)。「歳を超えた」というような意味がある。

 さらに、ブランデー一般の製法に共通するように、アルマニャックでも、複数の樽をブレンドしてボトリングするのが通例だが、熟成年数の異なるものをブレンドする場合、そのうちもっとも若いものの年数がカテゴリーの基準になる。

 今回の訪問で印象的だったのは、アルマニャックには古酒が何気なく存在するということ。

 25年ものというラベルには、ほぼどの作り手でもお目にかかったし、コニャックではあまり一般的ではない、ミレジーム(ヴィンテージ)、つまり1つの収穫年だけに限定したものが豊富にある。

 しかも、18から始まる年代のラベルに遭遇した時には、一瞬目を疑ってしまった。

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出版社できもの雑誌の編集にたずさわったのち、1998年渡仏。パリを基点に、フランスをはじめ、ヨーロッパの風土や文化、人々の暮らしをテーマにした取材を、文と写真で展開している。


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欧州は観光ばかりでなく農業や地方の活性化、また少子高齢化対策などでも日本が学ぶべき点が多い。日本が課題とするこうした点を欧州ではどのように克服しようとしているのかの実例をお送りする。また、欧州で高く評価される日本の芸術・文化などのソフトパワーについてレポートする。