(英エコノミスト誌 2017年7月29日号)

ベネズエラ制憲議会選、大統領が勝利宣言 衝突の死者10人に

ベネズエラの首都カラカスで、制憲議会選挙に抗議して警察署に放火した反政府デモ隊(2017年7月30日撮影)。(c)AFP/JUAN BARRETO〔AFPBB News

制裁は、国ではなく政権幹部個人に的を絞るべきだ。

 ベネズエラは原油の埋蔵量がサウジアラビアより多いと主張しているが、その国民は飢えに苦しんでいる。驚くべきことに、国民の93%は必要な食料を買う経済的余裕がないと言い、4人のうち3人はこの1年の間に体重が減ったと話している。

 この悲劇をもたらした政権は、貧しき人々への愛を公言している。だが、その幹部たちは多額の公金を着服している。ベネズエラは今や中南米で統治が最もお粗末で、最も汚職がはびこる国になってしまった。

 ベネズエラは、民主主義がなぜ重要なのかを教えてくれる教科書のような国だ。たちの悪い政府に捕まった国民には、ろくでなしを追い出す権力を持たせる必要がある。だからこそ、ニコラス・マドゥロ大統領は、ベネズエラにわずかに残った民主主義の息の根を止めることにあれほど熱心なのだろう。

 直前に気が変わることがなければ、マドゥロ氏は7月30日、自分に都合のいいメンバーで構成された制憲議会を作るためにイカサマ選挙を実施することになっていた*1。国民からは支持されていない自らの国家社会主義政権を永続させることがその目的だ。

 制憲議会が発足すれば、野党勢力が現在支配する国会(議会)の権力は完全に破壊され、来年実施予定の大統領選挙――もし自由かつ公正に行われれば、マドゥロ氏は間違いなく落選する――の正統性も損なわれる。野党勢力によれば、新たに作られる制憲議会はキューバ型の共産主義を導入するという。

 街にはすでに催涙ガスがまき散らされ、警官隊が発射した散弾も転がっており、制憲議会の発足で少なくとも国内の暴力行為が激しさを増すことになるだろう。4カ月近く続いている抵抗運動では100人を超える死者が出ているうえに、数百人が政治的な理由で身柄を拘束されている。国民はこの状況に激怒している。ほかの国々も警戒すべきだ。

*1=この記事が出た後、選挙は予定通りに実施された。