なぜか惹きつけられる上海の地下鉄駅の“魔性の広告”(筆者撮影、以下同)

 毎日大勢の通勤客を運ぶ上海の地下鉄。最近、その地下鉄の駅や車両内の広告がどんどん奇抜なものになってきている。もはや“暴走”と言っても過言ではない状況だ。

 上海に地下鉄が開業したのは1995年である。地下鉄を経営する上海申通地鉄集団有限公司によれば、2016年には15の地下鉄路線が完成し(リニア含む)、総走行距離は617キロになった。2018年には700キロ、2020年は800キロとさらなる拡張を見込んでいる。

 上海の地下鉄には366の駅があり、2016年、全路線の1日当たりの輸送客数の合計は約928万人だった。今年は1000万人を上回る日が連続するなど、その規模は東京の地下鉄に匹敵するまでになっている(東京は東京メトロが約700万人、都営地下鉄が約300万人)。

「ルールなき戦い」に突入した地下鉄広告

 上海では今、この地下空間で激しい広告戦争が繰り広げられている。

 上海の地下鉄には基本的に日本の「中吊り広告」のような紙の広告はない。車両の扉周辺、もしくは駅構内に設置されている液晶ディスプレイを使った広告が中心だ。上海の広告事情に詳しいプラップチャイナ上海の茅島秀夫氏によれば、「上海のほぼすべての路線に、地下鉄の窓から外を見ると動画が見えるという広告があります」という。最近は、さらに新しい形態の広告が登場してきた。いくつか例を挙げてみよう。