昭和11年のチャーハン、お米の多さにはワケがある

「栄養と料理カード」でたどる昭和レシピ(1)チャーハン

2017.08.04(Fri) 三保谷 智子
筆者プロフィール&コラム概要

炒めておいた卵を後で加える ―― 昭和32年

1957(昭和32)年2月号。1人分の熱量は450kcal。昭和11年の約半分に。
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 戦後の復興が落ち着いてきた頃。1957(昭和32)年2月号は「ハムと卵のチャオ・ハン」だ。

 1人分でごはん240g、卵16g、ラード10g。材料は5人分。中華なべにラード大さじ2を入れて煙が出るように強く熱し、卵2個を入れてほぐすように手早く炒め、とり出す。さらにラード大さじ2を熱して、ねぎのあらみじん切り15g、ハムの角切り75g、いり卵、ごはん1.2kgを入れて強火から弱火にし、飯粒をつぶさないようにパラパラによく炒めて、ごはんの重量に対して0.7%の塩分となるように塩小さじ2、加えて味の素で調味する。

 味の素は商品名そのままで用いられ、他の多くの料理の材料表にも登場していた。

植物油を使って炒める ―― 昭和46年

 1971(昭和46)年1月号は「ハムと卵の炒飯」。1人分でごはん250g、卵38g、油15g。材料は4人分だ。

1971(昭和46)年1月号。表面にはカラー写真も。
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 ここで、炒める油が動物性のラードから植物油に変わる。ハム80gとねぎ10gをまず炒めてご飯1kgを加え、塩としょうゆで調味したあとに、ときほぐした卵3個を流し入れる。卵がごはんの回りにまとわり、全体が黄色になるまで炒める方法を紹介している。また、別の方法として、初めにいり卵を作って取り出し、最後に加える方法でもよいと紹介する。

 調味は、ごはんの重量に対して0.7%塩分となるように塩小さじ1としょうゆ小さじ2。しょうゆはなべ肌から回し入れて、焦がして香ばしい風味づけをする。ポイントは下準備をして手順よく炒めること。1人分の熱量592kcal。

調理法は時代状況を映し出す

 以上の3つのチャーハンの相違点は、ごはんや卵の分量や加えるタイミング、油の種類などにある。

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三保谷智子(みほやともこ)

栄養と料理』元編集長。2011年4月から香川昇三・綾記念展示室勤務。学芸員。

東京都出身。1977年立教大学文学部史学科卒業後、香川栄養専門学校栄養士科(現 香川調理製菓専門学校)へ進学、「栄養士」の資格を取得。その後、1979年女子栄養大学出版部雑誌編集課に入職、約30年『栄養と料理』の編集に携わる。1988年より2011年まで、10年間編集長を務める。途中、同部マーケティング課、書籍編集課に在席。

独立行政法人国立健康・栄養研究所外部評価委員。「食生活ジャーナリストの会」会員、NPO法人「野菜と文化のフォーラム」会員、NPO法人「くらしとバイオプラザ21」理事。現在、『栄養と料理』で連載「レシピの変遷シリーズ」を執筆中。


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