55年振りの大学制度改革。その裏側は?

 先ごろ(2017年5月)、学校教育法の改正によって「専門職大学」および「専門職短期大学」の創設が決まった。

 文部科学省の方針によれば、この新たな制度に基づく大学は、2019年度には開学する見込みであるという。社会的にはいまだ認知度が低いと思われるし、読者の中にも「何だ、それは?」と首を傾げた方もおられるだろう。

 今回は、この専門職大学について、そもそもの創設に至る経緯や今後の発展の可能性などについて、また、専門職大学が成立したことが、日本の大学制度にいかなるインパクトを与えることになるのかといった点について考えてみたい。

55年ぶりの大学制度の改変

 まずは、前提として認識しておくべきことがある。それは、戦後の新制大学という制度は、これまでほとんど制度変更を施されずにきたという事実である。

 ここで言っているのは、大学設置基準が改訂されたとか、新設の大学や学部などの設置認可の仕組みが変更されたといったことではない。戦後の大学は、量的には拡大の一途を辿り、「大衆化」「ユニバーサル化」の段階を迎えるに至った。また、質的にも限りなく「多様化」「多層化」してきてもいる。にもかかわらず、それらはすべて、「大学」というひとつの制度内に収まる変化であったということである。

 いくら大学が大衆化し、多様化・多層化しようとも、複数の異なる種類の大学ができるといった制度体系の変更はなかったのである。

 ただし、以上の説明には、厳密に言えば、ひとつだけ例外がある。それは、短期大学の制度化である。