2011年、中国政府のEV施策十城千両が行われた頃の中国国内でのEV関連イベントの様子(筆者撮影、以下同)

 日本の自動車産業は何かとトヨタ自動車の動向を気にする。自動車産業界だけではなく、電気、通信、運輸、ITなどの主要事業者も、そして官公庁も、トヨタの事業戦略を注視している。自動車産業の現場を定常的に取材していると、そうした強固なトヨタ尊重論が日本経済界の中に定着していることを強く感じる。

 そのトヨタが、2019年から中国市場で小型SUV「C-HR」ベースのEV (電気自動車)を生産・販売すると一部のメディアが報じた。

 これを受けて、筆者のところに多方面から「トヨタがEVに本気になったのだから、いよいよEVが本格普及期に入るのか?」という問い合わせが来ている。

 なにせ、このところEVに関する報道が一気に増えている。そうした世の中の流れに乗り遅れまいと「トヨタがついに動いた」というイメージを持つ人が多いのだろう。

 EV普及への動きは世界的に進んでいる。

 例えばインド政府は、2030年までに自国で販売する全ての自動車をEV(電気自動車)にするという、野心的な政策を打ち出している。

 フランス政府はマクロン政権の発足直後、2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を止めるという。英国も、2040年以降はガソリン車とディーゼル車の販売を禁止し、EVに移行すると報じられている。