(英エコノミスト誌 2017年7月22日号)

英首相、北アイルランドの民主統一党と議会協力で交渉中 官邸

総選挙の結果を受けて英ロンドンの首相官邸前で声明を発表するテリーザ・メイ首相(2017年6月9日撮影)。(c)AFP/Justin TALLIS〔AFPBB News

意見が合わなければ怒鳴られることもある。

 英国下院の今会期が終了する7月20日は、この国の政界のムードについて深く考える好機だ。いくつかのことが目に留まる。将来への不安、古参政治家による子供じみた行為への憤慨、ブレグジット(英国のEU離脱)をめぐる混乱などだ。だが、最も際立っているのは「怒り」だ。

 政治家たちは互いに腹を立てている。大衆は政治家に腹を立てている。インターネットは辛辣な言葉で震えている。米国の歴史学者は1812年の米英戦争後の一時期を「好感情の時代」と呼んだ。これにならえば英国の今日の政治は「悪感情の時代」と呼べるかもしれない。

 7月下旬には閣内の対立が著しく悪化したため、テリーザ・メイ首相が閣僚たちに向かって、黙るか辞職するかどちらかにせよと通告せざるを得なかった。それ以上に不穏なのは、暴力的な脅しが急増していることだ。

 労働党のジョー・コックス下院議員が極右の過激派に殺害されてから1年経った今、あらゆるタイプの政治家が、非常に強い言葉で侮辱されるため身の危険を感じていると話している。

 同様な脅しはジャーナリストにも及んでいる。報道によれば、英国放送協会(BBC)は政治担当エディター、ローラ・クーンスバーグ氏にボディーガードをつけざるを得なくなったという。

 最もひどい脅しは、女性やマイノリティー(少数集団)の人々に向けられている。英国初の黒人女性の下院議員であるダイアン・アボット氏は、「こんなむかつくデブ女の体重に耐えられる大木が見つかったら」絞首刑にしてやるという内容のツイートを受け取ったと議会に届け出た。

 また先日の選挙期間中にはブリストルの労働党支持者が、メイ首相の写真にダビデの星のイヤリングを描き込んだ横断幕を作って公開した。