(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年7月17日付)

NYダウ、初の2万ドル突破

米ニューヨーク証券取引所で、2万ドルの大台を突破したダウ平均の終値を示す株価ボード(2017年1月25日撮影)。(c)AFP/Bryan R. Smith〔AFPBB News

 ウエアラブルテクノロジーのメーカー、ジョウボーンが、ダボス会議に集まった各界の名士たちに自社製品のカラフルな活動量計リストバンドをあめ玉のように配っていたのは、つい数年前のことだった。同社は今や破綻寸前で、会社を切り売りしている最中だ。

 これについては、いろいろなことが災いしたという議論ができるだう。市場への製品投入が早すぎたとか(ブルートゥース対応の製品を投入したのは1990年代後半のことだった)、睡眠モニターや歩数計といったものは、独自のデバイスやエコシステム(生態系)を正当化するスタンドアローン型の技術ではなく、最終的にアップルやグーグルといった企業が運営する巨大プラットフォーム上のアプリになるということに気づくのが遅すぎたといった議論だ。

 しかし、企業価値の評価額がピーク時には32億ドルに達し、世界で最も成功しているベンチャーキャピタル(セコイア・キャピタル、クライナー・パーキンス・コーフィールド&バイヤーズ、アンドリーセン・ホロウィッツ、コスラ・ベンチャーズ)から資金を集めたこのシリコンバレーのユニコーン企業*1 は、自らの成功の犠牲になってしまったという議論も同じくらい容易にできるだろう。

 多額の資金を湯水のごとく使い、企業価値の評価額をとてつもないレベルにまで高めた結果、ジョウボーンは自社製品のユーザーのようになってしまった。自分のためにならないほどリッチで太った人になってしまったのだ。昨年には、運転資金を調達すべくクウェート投資庁(KIA)にも足を運ばねばならなかった。

 政府系ファンドがシリコンバレーの目利きの投資家ではないこと(大物ではあるが動きが遅く、ほかの投資家なら出さないタイミングで大金を投じることが多い)を考えれば、KIA詣では決して良い兆候ではない。

*1=企業価値の評価額が10億ドルを超える非上場ベンチャーのこと。