A horse interacts with a stud master during a program called 'Piber meets Vienna 2017' at the famous Spanish Horse Riding School at the Hofburg palace in Vienna, Austria on July 5, 2015./AFP PHOTO/JOE KLAMAR

 私は公認会計士であるとともに、企業の経営を心理的側面から分析して経営改善を行う経営心理士として、経営コンサルティングを行っている。

 部下の動きが悪い。もっと自発的に動いてもらいたい・・・。

 こういったご相談は経営のご相談の中でも特に多い。そういったご相談の解決のヒントとしてこんな話をご紹介したい。

 自分で会社を起こし、数百人の従業員を抱えるまでに会社を成長させた社長からこんな話を聞かせていただいた。

入社3年目の社員を奮い立たせた一言

 その社長が大学を卒業し、大手企業に就職してから3年が経った時のこと。あるプロジェクトに関わり、その結果を上司に報告したところ、その上司から社長にも報告に行って来いと言われた。

 数千人の従業員を抱える企業の社長に入社3年目の自分が会うなんて恐れ多いと思いながらも、社長のアポは取れたとのことなので、社長室に向かった。社長室に入り、社長に今回のプロジェクトの報告をすると、こんな質問をされた。

 「君はこの会社の経営を良くするためには何が必要だと思う?」

 入社3年目の平社員に経営のことを聞いてどうするんだと驚いたものの、その場で思い付く限りのことを一生懸命に答えた。すると社長は入社3年目の平社員の意見を対等な目線で真剣に聞いてくれた。

 そして、「とても良い意見を聞かせてくれた。経営とはそうあるべきだ。ありがとう」とじっと目を見ながら言ってくださった。

 雲の上の社長が入社3年目の自分を対等に扱ってくれた。これは武者震いがするほどに嬉しかったという。

 この体験がその後の人生に大きな影響を与える。以後、いつ社長からまた経営の意見を求められても答えられるように、経営について勉強し、会社の経営のことを常日頃から意識しながら仕事をするようになったという。