また、部門内・部門外の仕事の流れ(業務プロセス)に着眼し、類似した作業を統合・廃止することもきわめて有効だ。アプリケーション活用による似たようなデータ入力や、それらを集計・とりまとめる仕事などが典型的な対象である。

(2)中の分担を見直し、忙しさを分散化する

 組織生産性向上は、むろん所属する担当者それぞれの能力発揮にかかっている。しかしながら、実際には仕事が本人能力(与えられた仕事時間×仕事に取り組む力)にうまく割り当てられていないことが多い。“できる担当者“にだけ仕事が割り当てられる、いわゆる「属人的」な状態だ。

 裏返すと、組織の中で“できない担当者“が時間を浪費しているということになる。是正のためには、周りの担当者の能力を少しでも上げ、特定担当者に集中している仕事を周囲へ分散化、マルチ化することが求められる。

(3)仕事の発生タイミングをコントロールする

 上で挙げた(1)(2)が実現できても、朝や夕方・夜の時間帯に特定の仕事が発生すると、結果的には時短は実現しない。典型的なものは、夕方や夜の時間帯、休日の要望対応だ。現在はモバイルツールが日用品化しているため、土日のメールチェックが欠かせないという職場が多い。これらの要望対応は、外部・顧客対応だけではなく、内部・上司上長・組織向け対応も実に多い。

「なるべく早く」という依頼に「分かりました」と即答する前に、納期調整によって当日の即事対応を避ける、あるいは仕事を断る習慣を取り入れること、一方で、遅い時間帯や休日の依頼を止めるという取り組みが組織全体で求められる。

 また、仕事を実施するタイミングが悪い(突発的に発生、あるいは遅い時間に固定化している)ため、諸々の“手待ち”が発生することもオフィスワークの特徴である。会議や上長決裁タイミング「始まる、戻るまで待っている」などがその典型だ。いかにして組織のメンバーの仕事の同期化を図り、“手待ち”を減らすかも重要な改善ポイントである。

「上司・役員の要望には即応せざるを得ない」「売上を上げるには仕事を受けざるを得ない」と考えている組織責任者は少なくない。しかし、こういった内外要望に真摯に応えることが業績や満足度に影響するとは限らない。顧客要望にどう対応するか、優先度を組織的に決めていないことがむしろ解決すべき課題である。