(英エコノミスト誌 2017年7月15日号)

トランプ氏の妻子が今夏に首都へ引っ越し、息子は近郊の学校へ

米首都ワシントンのホワイトハウスで手を振るドナルド・トランプ大統領の息子バロン君(左、2017年4月17日撮影)。(c)AFP/Brendan Smialowski〔AFPBB News

建国の父たちは、この種のことを毛嫌いしていた。彼らは正しかった。

 世襲制は米国らしくないうえに、偉人の子供たちのためにもならない――。ベンジャミン・フランクリンは独立戦争が終わって間もなくそう明言した。ジョージ・ワシントンを頂点とする新しい貴族社会を築くたくらみがあるとの噂が飛び交ったからだ。

 親を称えることは理にかなっている、しかし、その親の元に生まれたという偶然に報いるのは「根拠がなく、ばかげているだけでなく、当人にとって有害であることが多い」と断言した。

 建国の父が生きていたら、ドナルド・トランプ大統領をめぐる出来事の大半について、きっと愕然としたことだろう。現在、子供たちとその婿を巻き込んでいる騒ぎを目にしたら、すぐに警告を発すると考えて間違いあるまい。

 トランプ氏の長男のドナルド・ジュニア氏が2016年の大統領選挙中にやったように、大統領の息子が父親の政敵の「極めて高度な機微情報」を、敵対関係にある外国から受け取ろうとするなどということは、先見の明があったあのフランクリンでも想像しなかっただろう。

 だが、この一件が明るみに出るかなり前から、トランプ氏が自分の子供たちをホワイトハウスの顧問に登用したり、自分の不動産帝国の経営者にしたりしたこと――つまり、「大統領就任に当たっては事業をブラインドトラスト(白紙委任信託)の管理下に置くべきだ」という助言を一蹴したこと――は、建国時の政治家が作り上げたチェック・アンド・バランスの仕組みに深刻な脅威をもたらしていた。