・各国政府、そして国際社会は、劉氏の未亡人となった劉霞氏の軟禁を解き、行動の自由を認めることを中国政府に強く求めるべきである。同時に各国政府は中国に劉氏の死の詳細な経緯の公表を迫るべきだ。

中国の対外戦略に大きなブレーキ

 今回の劉氏の死によって、中国政府の独裁性や非人道性、そして「人権尊重」や「法の支配」という国際的な普遍価値である基本原則を無視している実態が改めて明らかになった。

 このことは、超大国の立場を目指し、国際社会で多角的に拡張を図るという中国政府の試みには間違いなく大きなブレーキとなる。

 中国は最近、習近平主席の野心的な政策の下、「一帯一路」や「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」といった国際的構想を推進している。これらは、中国の主導の下に他の諸国との多様な連帯や協力を深めることで、中国自体の国際的な影響力を強化していこうという戦略に基づいている。

 そうした国際的な連携の拡大では、関係各国がどこまで共通の価値観を共有できるかが大きなカギとなる。現在の世界での共通的な価値観といえば、やはり民主主義、法の支配、人権尊重、人道主義などである。だが、今回の劉暁波氏死亡事件によって、中国政府がそうした共通要因を持ち合わせていないこと、それどころか反発あるいは敵視していることが実証されてしまった。その結果、中国政府の対外戦略全体が暗い影に覆われることになるだろう。

 一方、米国の人権団体は、中国政府が自国の政府や共産党への批判を理由に逮捕して拘束した政治犯のなかには、劉暁波氏以外にも獄中で重病となったり、病死した実例が多数あることを指摘している。これらの実例に新たな光があてられ、国際問題となる可能性も浮かんできた。