おらさいすると、量的緩和策というのは、日銀が国債などの資産を積極的に購入し、市場にインフレ期待を醸成させる金融政策である。実質金利は名目金利から物価上昇率(期待インフレ率)を差し引いて計算されるが、インフレ期待が高まれば名目金利が変わらなくても実質金利が低下する。設備投資は実質金利に大きな影響を受けるので、一連の政策によって設備投資が増え、経済成長が実現するというメカニズムだ。

 量的緩和策を実施した当初は、為替が円安に振れて輸入物価が上昇。それに伴ってインフレが進むかに見えた。消費者物価指数(「生鮮食品を除く総合(コア指数)」)は、プラスに転じ、2014年5月にはプラス1.4%(消費税の影響除く)まで上昇した。

 だがその後、物価の伸びは急激に鈍化し、2016年後半からは物価がマイナスになる月も目立つようになった。2017年に入ってからは世界経済の回復で多少、物価は持ち直しているが、状況が大きく変わったわけではない。

突出して肥大化している日銀のバランスシート

 結局のところ、日銀だけが量的緩和策において目立った成果を上げられなかったという図式であり、その原因については、専門家が様々な見解を披露している。だが、政策的な効果を得られていないというだけの理由で、日銀が大規模な緩和策を継続するのは現実問題としてかなり難しい。

 各国の中央銀行が出口戦略を模索する中、日本だけが緩和政策を続ければ、事実上の円安誘導となってしまい、各国の理解を得ることができなくなるからだ。もしECBが今年の後半に出口戦略に舵を切った場合、日銀も出口戦略について何らかの見解を出すことが求められる可能性は高い。

 ここで問題となるのが、突出して肥大化してしまった日銀のバランスシートである。量的緩和策の実施によって日銀のバランスシートは約3倍に拡大しており、資産規模は500兆円に達する。一方、FRBは3度の量的緩和策によってバランスシートは4.5倍に拡大したが、それでも資産規模そのものは4.5兆ドル(約500兆円)と日本とあまり変わらない。